組曲合作編 魔女っ子更紗対魔剣士ロフェル


 ロフェルの目の前には異形な怪物の集団があった。
「レイーズ」
 数百年ぶりに目覚める魔法武器レイーズ。
 うれしそうに輝きを放っている。
「まったく、何で俺がこんな事する羽目に…………」
 そう嘆きながら怪物たちの集団に飛び込み次々と切り裂いていく。
 何故ロフェルが怪物たちと戦っているのかと言うと話は一週間前にさかのぼる。

「アリサさん、何ですかこれ?」
 その日、アリサの家には外国にいるロフェルの祖父から届け物があった。
「ロズウェルさんからあなたにだそうよ。なんでも代々クォーラル家に伝わるものですって」
 ロフェルに送られてきたものは銀製らしい棒と古めかしいタロットカードだった。
「代々伝わるねぇ…初めて聞いたぞ。だけどじいさんが送ってきたものだろ、あのじいさん何考えてるかわからないところあるからなぁ」
 しぶしぶレイーズとカードを受け取るロフェル。
 その夜ロフェルは夢を見た。
 自分とそっくりの人物が出てくる夢だ。
「お前が3代目ロフェル・クォーラルか」
「なっ、何もんだよお前?」
「言うなれば初代ロフェル・クォーラルだ」
「初代?…そういやじいさんに聞いたことあるな。俺の名前はずっと昔のご先祖からとった名前だと」
「そう。俺がそのご先祖だ。またこの世に魔の力がはびころうとしている。だからお前にそのレイーズとカードを使ってそれを防いでもらいたい」
「魔の……力?」
 何の事を言っているのか全然わからないロフェル。
「わからなきゃわからないで良い。ただし、レイーズとカードは肌身放さず持っておけ。きっと役に立つ」
 そして夢は覚めた。

「大丈夫ですか?ロフェルさん」
 珍しくフローネと帰りが一緒になったとき怪物達に出会いレイーズが目覚め戦う羽目になったのだった。
「あまり大丈夫じゃねえけどな。やるしかないだろ。ヴォーテックス」
 レイーズのおかげで魔法が使えるようになったロフェル。
 そしてレイーズの力はフローネにも影響した。
「デスバレイ」
 フローネにも魔法の力が宿ったのだ。
「なっ、何でフローネまで」
「わかりません。ですけど今までに無い力を感じます」
 こうしてロフェルとフローネは怪物と戦う事となった。


 それは、更紗が町を歩いていた時だった。
 手に持っていたステッキから、久しぶりに声が聞こえてきた。
『マスター。何らかの大きな力が動いています』
「力?…もしかして、またあの闇の力の暴走なの?」
 以前更紗はマリアからもらったこのステッキとルシード達の助けを借りて闇の力というものと戦ったのだが、一人では到底かなう相手ではなかったのだ。
『いえ。明確にそうとは言い切れません。何か別の力も関与しているようなのですが…』
「とりあえず、その場所に行ってみるわ。どこで反応が?」
『はい。とりあえず目の前です』
「…え?」
 更紗が目の前に視線を戻すと、その周辺には怪物たちがひしめいていた。
「…うわ」
 一言つぶやいた更紗は、短く呪文を唱えた。
「チェンジ・マジック!」
 更紗を包む光が収まった時、そこには赤を基調としたローブを着た更紗が立っていた。
「闇の力の元に、あなたたちを浄化するよ!…バニシング・ノヴァ!」
 更紗の放った呪文を受け、周囲の怪物たちが次々と減っていく。
 それから少しして、ステッキに宿る闇の力、モノアイが声をかけた。
『マスター、北に少し行ったところで一般人が囲まれているようです』
「分かった。ソッチが優先ね。…シーンクラビア」
 瞬間移動の魔法で更紗が移動した先では、先ほどの怪物と同じようなものがひしめき合っていた。
 その中心にいるのは…
「ちくしょー!こっち来るなよ!」
 なんと、素手で応戦しているビセットだった。
「ビセット!」
 一跳躍で怪物たちの頭上を飛び越えた更紗は、ビセットと怪物の間に降り立った。
「ビセット、ここは私に任せて大人しくしていて!…エアバースト!」
 更紗の放った風は、そこまで迫っていた怪物たちを吹き散らした。
「あ、あれ?もしかして更紗?」
 いきなり空から現れた(ように見えた)人物が顔見知りだったために、ビセットはその場に立ちすくんでしまった。
 その間にも、更紗の魔法が周囲の化け物たちを蹴散らしていく。
「…俺にも、出来るかな?」
 テレビで覚えた拳法家の構えを取ったビセットは、更紗の倒し残した怪物を目標に定めて拳を突き出した。
「ブレイズ!」
 ビセットの拳からあふれ出た炎が、目の前の怪物を焼き尽くした。
「!・・・・ビセット、どうして魔法を使えるの?」
「え?…なんでだろ。何となく使えるかなーって思ってやってみたんだけど」
『マスター、今は目の前の敵を掃討することが先決かと』
 モノアイの声に我に返った更紗は、ビセットをチラッと見て怪物たちに集中を戻す。
「ビセット。まずはこいつたちを倒しましょう」
「おう!俺に任せとけ!」
 こうして、少し妙なパートナーを得た更紗であった。
「ふう…やっと終わったね」
 そう更紗が言ったのは、ビセットと出会って数時間が過ぎようとしていたころだった。
「あー。結構疲れるね、これ」
 魔法という慣れないものをいきなり使ったためか、ビセットは更紗の横で座り込んでいる。
『そういえば、マスター。その少年が魔法を使ったので言い出しそびれたのですが、学園の近くでも魔法の反応がありました』
「えっ、学園の近くでも!何かの間違いじゃない?」
 更紗の問いに答えたモノアイの声は、少し意外な単語を含んでいた。
『いえ、あの力は魔法、それも古代の力です。私達闇の力と同じか、あるいはそれ以前より存在する巨大な力…』
「そんな力がこの町に…」
 モノアイの報告に更紗が愕然としていた時だった。
「なあ、更紗誰と話をしてるんだ?誰もいないぜ」
 座り込んでいるビセットにはモノアイの声が聞こえないらしく、不思議そうな顔で更紗を見ていた。
「な、なんでもないよ。…それより、どうしてビセットが魔法を使えるの?」
「だからわかんねーって。何となく力が湧いてきたみたいに感じて、使ってみただけだからさ」
『もしかすると、私の力の一部が、マスターが魔法を放った際にビセットさんに移ってしまったのかもしれません』
「そんなこともあるんだ。…とにかく、ビセット。あまりみんなの前で魔法を使っちゃダメだからね。いい?」
「えー!何でだよ。格好良いじゃん、こういうことが出来るの」
 あまり何も考えていない風のビセットに、更紗は大きなため息をついてから言った。
「普通の人が使えない力を使ったら、絶対奇妙がられるの。だから、本当に必要な時にだけ使う奥の手として持っていて」
「わ、分かったよ…ちぇ、ルシード辺りに自慢できると思ったのにな」
 更紗の真剣な表情に、ビセットはしぶしぶだが了解をしてくれたようだ。
「ありがとう。じゃあ、私は帰るから。またね」
「あ、うん。バイバイ、更紗」
 ミッシュベーゼンへ向かって早足で歩く更紗の背中を見つめながら、ビセットは重大なことを思い出した。
「あ、更紗は何で魔法を使えるんだ…?」
 しばらく考え込んでいたビセットだったが、間もなく立ち上がって家へと歩き出した。
「ま、いいや。今度会った時に聞いてみよう」
 こうして、日常から少しずれた世界が始まる。

「何か…いつもより身体が重い。疲れが溜まっているような気がする」
 翌朝何事も無かったかのように起床するロフェル。しかし身体はしっかりと昨日の事を覚えており初めて魔法を使った為、精神的にも疲れていた。
「起きなさいロフェル。遅刻するわよ!…って起きてるみたいね」
 そこへいつものようにロフェルを起こしに来たパティ。
「みりゃわかるだろ」
「どうかしたの?いつもより元気無いみたいだけど」
「…別にどうもしてねえよ」
 本当の事を話せる筈も無く嘘を付く。
「あれ、何コレ」
 机の上に放りっぱなしにしてあったレイーズとカードに気づき手に取るパティ。
「なっ、なんでもねえよ!!」
 慌てて取り上げるロフェル。
「ちょっと、そんなムキになんなくてもいいでしょ」
「…悪ぃ」
「ロフェル。あんた少し変だよなにかあったんじゃないの?」
「だから、なんでもねえって」
 あくまでも話すつもりは無いようだ。
「ほら、早く行かなきゃ遅刻するんだろ」
「う、うん………」
「それじゃアリサさん行って来ます」
「二人とも行ってらっしゃい」
 素早く着替えアリサが用意していたトーストを頬張ると学校へ急ぐロフェルとパティ。
 登校途中ルシードとフローネの二人に出会う。
「おはようございます。ロフェルさん、パティさん」
「よお」
「おはようフローネ、ルシードさん」
「はよぉ」
「昨日は凄かったですねロフェルさん」
 他の二人に聞こえないようにそっとささやくフローネ。
「やっぱり昨日のは現実かよ……」
「どうかしたんですか?」
「お前なぁ。あんな目に遭っておいて良く平気でいられるな」
「私達魔法を使ったんですよ平気なわけないじゃないですか」
 完全に話がかみ合っていない。
「俺が言ってるのはそんなんじゃなくて……怪物に襲われたのに良く平気だなって事だ!」
「何の話してるんだろ?あの二人」
「怪物がどうとか言ってるみたいだが。ミッション授業の話じゃねえのか」
「うーーん…」
 事情を知らないルシードとパティは二人の話しをいぶかしげに聞き耳立てている。
「ロフェルさんて意外と現実主義だったんですね」
「いや俺だってな妖怪や幽霊とかの存在は信じる方だぞ。だけどな、いきなり怪物が現れたり突然魔法を使えるようになったりしたんだぞ信じられなくて当たり前だろ」
「怪物はともかく魔法が使えるようになったのは凄いじゃないですか。私、朝起きたら夢じゃないかと思ったんですよ。それでためしに使ってみたらちゃんと炎が出たんです」
「……………………」
 フローネの隠された一面に頭を抱えるロフェル。
 そうこう話すうちに学校に着いてしまう。

 一方、魔法を使えるようになったビセットも上機嫌であった。
 更紗に使うことを止められたにしても、自分に凄い力が宿ったらしいことが嬉しかったのだ。
「よーし。これで今度からチビって言われても気にならないもんね」
 登校途中のビセットをたまたま発見した更紗は、心底不安感を感じていた。
「…ねえモノアイ。ビセット、すぐに喋っちゃいそうな勢いじゃない?」
『さあ、どうでしょう。私は未だにヒトと言う種族の行動原理が理解できないことがありますから』
 つぶやいた更紗の声に答えたのは、登校時には手提げの中に入れているステッキである。
『あ、マスター。以前お話した未確認の力の正体ですが』
「未確認の…ああ、昨日学園の近くにあった魔法の反応?正体が分かったの?」
『いえ、未だに。ただ、私の記録に該当が無いということは、もしかするとヒトの作りし者ではないのかもしれません。出来るだけご注意を』 
 この話を言われるまで昨日言われたことを軽く考えていた更紗は、少し気を引き締めて応える。
「分かった。一応気をつけてみる」
 その会話が途切れて間もなく、悠久学園の校門が見えてきた。
 そのそばに見慣れた人物を発見した更紗は、小走りに近寄って声をかける。
「おはよう、リオ」
「あ、おはよう、更紗ちゃん。…じゃ、教室に行こうか」
「うん」
 とりあえず、リオと一緒にいる時ぐらいは怪物とかの事を忘れたい、そう心から願う更紗であった。
 しかしこの時、ロフェル達も更紗も気がつかない事態が起ころうとしていた。
 普通ならば見落としてしまうような小さな異変。それに初めに気が付いたのはランディであった。
「・・・・・」
 その時、ランディはミッション授業のプログラム作成を行っていた。
 徒に少し趣味に走ったプログラムを作成していた時。
 ビビッ ビッ ビビッ
 パソコン画面に小さなノイズが走ったのだ。
「こっ、これはまさか…」
 その現象に心当たりのあったランディは、作成途中のプログラムを破棄し、ゼファーの携帯にコールした。
「…ゼファー。どうやらまた魔物だ。しかも学園の近くにいるようだぞ。」
 そう。以前魔物が大量発生したときと同じノイズだったのである。
 しかも、今回は真昼間の出来事であった。
「今から名前を挙げるものたちはすぐさまランディ先生の元へ来い。ルシード・アトレー、リオ・バクスター、クレア・コーレイン、更紗。以下の者達はミッションルームへ来い」
 授業の途中ゼファーから突然の呼び出し。
 更紗達は急いでランディが待つミッションルームへと向かった。
 ミッションルームにはランディとゼファーの姿が在る。
「よく集まったお前達。んっ、クレアの姿が無いな?」
「風邪を引いて休みと聞きました。アルベルトさんも看病のため休んでいるそうです」
 ランディの質問に答えたのはリオだった。
「おい。もしかしてこのメンバーを呼んだって事はまた何かあるという事か?」
「そうだ。またお前達に戦ってもらう」
『マスター。確かに昨日現れた魔物の気配を感じます。しかも、この学園に』
「しかし、クレアが休みなのは痛いな」
「確かに。かなりの数が現れそうですから」
「あの…ビセットなら代わり出来ると思う」
「あん、ビセット!?何であいつが?」
「昨日魔物に襲われたのをビセットが助けてくれたから」
「そうか。ではクレアの代わりをビセットにやってもらおう」
 深くは聞かないゼファー。もしかしたら更紗の力の事に気づいているのかもしれない。
「オウ、俺に任せとけ」
 こうしてビセットも呼ばれる事となった。
「いいか手前達。化け物が現れるまでもう時間がねえ」
「待ってください。戦うのはしょうがありませんけど学園でなんて。後から色々騒がれますよ」
 リオの言うとおりだ。
 いくらトラブルの絶えない悠久学園と言っても真昼間から魔物が現れルシード達がそれと戦う事になるのだから騒ぎにならないはずが無い。
「それはちゃんと考えてある。お前達は周りに被害が無いよう戦えば良い」
「わかった。やってやろうじゃねえか」
 魔物達の群れは学園内へと侵入した。
「校内にいる生徒や職員に連絡する。連絡し忘れていたが今日番組の撮影がこの学園で行われる色々と邪魔になるかもしれないが撮影の邪魔をせず授業を続けるように。繰り返す、撮影の邪魔をせず授業を続けるように」
 苦肉の策だが短時間ならば通用するだろう。
 みんなにバレる前に数十体の魔物達を倒さなければならない。
「インファーノ」
「コンクエスト」
 ルシードとビセットの二人はそれぞれの武器に炎を纏い魔物達を攻撃する。
「ルーンバレット」
「アイシクルスピア」
 二人ほど力の無い更紗とリオはそれぞれ魔法で一体ずつ倒している。
 さすがに学園を壊すわけにはいかず大きな魔法を使えないのだ。

「ロフェルさん!」
「ああ、わかってる」
 ロフェルとフローネは二人で非常階段に隠れていた。
「あれは昨日私達を襲った魔物です」
「わかってるよ」
「わかっているならどうかしなければ」
「だからってレイーズを振るって出て行けるか。後から騒がられるのは目に見えてるだろう。その時どうやって説明するんだよ」
「だからと言って放っておくんですか?」
「そんなこと言ってねえだろ!」
「そのような事ならば我に任せてもらおう」
 ロフェルの懐から声がする。
「何だ?」
 それはレイーズと一緒に持ってきていたタロットカードだった。
 その中から21番目のカードWorldが現れた。
「我が名はWorld。汝らのために力を貸してやろう。ゼハインド」
 Worldが魔法を唱えると校舎全体の色が消えた。
「どう言う事………?」
 突然の出来事にフローネは驚きを隠せない。
「この建物全体に我が結界を張った。これでこの建物が壊れる事は無いし魔力が在る者以外は建物と一緒に時が止まり傷つく事は無い」
 そう言ってWorldはカードへと戻った。
「すっ、すげえ」
「これでもう何も問題は無いですね」

 これで一般生徒にばれる事は無くなったのだが更紗達は違った。
「何…これ?」
「みんな、止まっちゃった」
『マスター、何者かが学校に結界を張ったようです』
「結界?」
『はい、このタイプの結界ですと戦いの影響で建物が壊れる事はありませんし魔力を持たない人間は時が止まり傷つく事もありませんから遠慮無く魔法を使えます』
「ルシード達までカチンコチンになってる。どう言う事なんだ?コレ」
「ビセット…ルシード達は心配いらないみたい。建物やみんなが傷つく事は無いみたいだから思いっきりやって良いよ」
「よーし、それならどんどん魔法使っちゃうもんね」
 更紗の説明により深く考える事を止めたビセットは魔法を連発し次々と魔物を倒していく。
「ねえ、モノアイ。その結界が張られたということは張った人がどこかに居るんだよね?」
『ええ、ですが少なくとも敵ではないと思います』
「…どうして?」
『かなり昔ですがこの魔法に覚えがあります。私の認識が正しければですが』
「そっか…でも、チャンスだよね。これでみんなが傷つかなくてすむから」
『はい』

「動いている奴等がいるじゃねえか」
「ここで動けるって事はあの二人魔力を持っていると言う事ですね」
 更紗とビセットの姿をロフェルとフローネは見ていた。
 だが、声は聞こえなく正体までは気づいていない。
「参ったな、下手に動いて俺たちの事ばれるわけにはいかないし」
「魔物達と戦っているんですよ。私達の味方になってくれるんじゃないんですか?」
「だとしてもだ。正体がばれない事にこしたことはない。さっきみたいにカードに使える奴はいないのか?」
 カードの中から2枚を抜き取る。
 そのカードは7番目のカードChariotと8番目のカードStringthだった。
「これなら使えそうだな。いけチャリオット、ストロング」
 2枚のカードはたちまち実体化する。
 Chariotは手に槍を持ち、背に弓を持ち、馬の下半身、人の上半身の姿。Stringthは美しい女性の姿をしているがいかにも鍛錬を重ねていると思われた。
「あの二人と共に魔物達を倒すんだ!」
「「承知」」
 ChariotとStringthは魔物達と戦っている更紗達の元へと行き戦いに加わった。
「また新しいのが出てきた」
「安心せよ、我等は汝等の敵ではない」
「我等は主に命じられこの魔物達を殲滅しに来た」
「モノアイ……」
『彼等に敵意は感じられません。大丈夫だと思います』
「…うん」
 十数分後。更紗達の活躍により魔物達は倒された。


 その日の放課後。教室で帰り支度をしていたルシードの元に、ロフェルが訪れていた。
「お前が一人で来るなんて珍しいな。何か用事か?」
「いや、ちょっとな。…ルシード。今日の呼び出しは何だったんだ?」
「あ?俺が呼び出された理由か?んなこたどうだって良いじゃねえか」
 真面目に聞いているロフェルから目をそらしながら立ち上がったルシードは、そのままフローネの待つ高等部の校舎へと歩いていく。
 その後を追いかけようとしたロフェルだったが、後ろから呼び止められてしまった。
「ちょっとロフェル。どこに行くのよ」
 振り返ったロフェルの前に立っていたのは、少し怒った様子のパティであった。
「あれ?パティ。なんでここにいるんだ?」
 不思議そうに聞くロフェルに詰め寄りながら、パティが続ける。
「なんでじゃないでしょう。人が呼んでるって言うのに無視してどんどん歩いて行っちゃって。人を無視するのはそんなに楽しいの?」
 パティは相当怒っているようだ。
「いや、悪かった。ちょっとルシードに用事があったからさ。本当、ごめんなパティ」
 ロフェルが謝ると、パティはすぐに笑顔になった。
「分かればいいのよ。さあ、帰りましょう」
「ああ」

 ちょうど同じ頃、更紗とリオは学園を出てすぐのところにいた。その横には、珍しくビセットがいる。
 彼らは、今日学校を風邪で休んだクレアのお見舞いに行く途中なのだ。
「でも、今日はびっくりしたね」
 道すがら、リオが昼間の事を持ち出した。
「そうだね。途中で何かが光ったと思ったら怪物たちが全部消えてたんだもん」
「結構、正義の味方とかだったりしてな」
 更紗とビセットは、その都合上一緒に止まっていた事にしているようだ。
 そのまま他愛もない話をしていると、すぐにクレア達の家についた。

 クレアの見舞いを済ませた三人は、そのままミッシュベーゼンへと向かうことになった。
「楽しみだぜ、更紗の創作料理〜!どんなのかな?リオは食べたことあるんだろう?」
「う、うん。えっと…」
「・・・・・」
 どう答えようかと更紗のほうをチラッと見たリオは、笑って答えた。
「おいしいよ。更紗ちゃんって料理上手だしね」
(パティさんの創作料理よりは…)心の中でそう付け加えたリオは、冷や汗を浮かべながら顔を引きつらせる。
「おーっ!楽しみだなー」
 一人盛り上がっているビセットの横で更紗は少し恥ずかしそうにしており、リオは顔を引きつらせたままであった。
(ごめん、ビセット君)
 と、その瞬間。唐突に周囲の空間から色が消えうせた。
「こ、これは!」
「また止まっちまったのか?」
 いきなりなことに慌てる更紗の心に、モノアイの声が響く。
『マスター。悠久学園校門前辺りです。これまでとは比べ物にならないような力を感知しました』
「昼の時と同じ人なのかな?」
『恐らくは。…マスター、手助けに行ったほうが良いのではないでしょうか』
「分かった。ビセット!学園前で誰かが戦っているようなの。助けに行きましょう」
「おう、任せとけ!」
 先に走り出したビセットに続いて走り出そうとした更紗は、後ろを振り返ってつぶやいた。
「リオ、待っていてね。すぐに料理作ってあげるから」

 (ルシードの奴。明日は問い詰めてやる)
 その数分前、校門を出ようとしていたロフェルは視線を感じて立ち止まった。
「あれ?どうしたのロフェル」
 いきなり立ち止まったまま険しい顔をしているロフェルに怪訝な顔を向けたパティは、ロフェルの向いている方に視線を向けた。
 そこには、黒いタキシードとシルクハット、手には少し長めのステッキを持った男が立っていた。
 その男も、ロフェルの事をじっと見ている。その顔は薄く笑っているが。
「なによロフェル。あの人知り合い?」
「いや、初めて見る顔だけど…さっきからこっちを見てるんだよ。おっさん、何か用なのか?」
 その男はロフェルに近づきながら、何気ない声で話し掛けた。
「ロフェル・クォーラル。レイーズの継承者ですか」
「なっ…てめえ、何者だ?!」
 薄く笑いを浮かべたままの男を睨みつけたロフェルだったが、その男から発せられる異様な気に圧されていた。
「なに、ただの通りすがりのおっさんですよ。今日は顔見世とプレゼントを」
「ふざけるな。何者だって聞いてんだ。答えろ」
「答える気はありませんね。…ゲイル」
 バシュッ
 何の予告もなく男が放った魔法から、ロフェルは間一髪で身をかわす。
「お見事です…と言いたい所ですが、お連れの方が怪我をなさいましたよ」
「なにっ!?」
 男の声でパティの方を向いたロフェルの視界に血の赤が飛び込んできた。
「パティ!大丈夫かっ!」
「だっ、大丈夫…よ」
 パティは怪我をした右肘を押さえながら苦しそうにしている。
「ふっ。周囲の注意くらいはするものですよ。では、これで」
 そう言って男が立ち去ろうとした時、
「World。…ゼハインド」
 ひどく落ち着いた響きでカードを繰り出したロフェルにその男は足を止めた。
「ほぉ…」
 ゆっくりと振り返った男の前には、目に怒りをたたえたロフェルが立っていた。その手には既にレイーズが握られている。
「ゆるさねえ…ゆるさねえぞ!」
 ロフェルの感情に呼応するかのように、レイーズの周囲を電撃が走る。
「消えて無くなれ!シャイニング・レイーザー!」
 ロフェルが力任せに振るったレイーズが、凍りついたはずの地面に小さな亀裂を生じさせた。
「はあ、はあ、はあ」
 全力でイレーズを振るったロフェルが荒い息をつく向こうで、男は驚愕の表情を浮かべていた。
「まさか、ここまでの力があったとは。…これは、私でも無事ではないでしょうね。当たれば、ね」
 ロフェルの攻撃は、男からわずか右側を駆け抜けていた。
「うるせえ!次は当ててやるから覚悟しろ」
「しかし、あなたの魔力は既につきかけているのでは?」
「くっ…」
 痛いところをつく男にロフェルがうめいた時、
「エターナルマジック」
 ロフェルを優しい光がとりまき、ロフェルの魔力を増幅させる。それと共に、学園の中からフローネが現れた。
「フローネ!?」
「ロフェルさん、この人は?」
 横に並ぶフローネに目で礼を言って、レイーズを構えなおす。
「俺も名前はきいてねえな。お前、何者だ」
「私の名前は…」
 男は、言葉の途中で身をよじった。そのすぐ横を、炎の帯が通り過ぎる。
「ちっ、外したか」
「もう、ビセット!いきなり確認しないで魔法を撃たないで」
 そこに、更紗とビセットが到着する。
「ビセット君、それに更紗ちゃん!どうしてあなたたちが…」
 驚いているフローネとは対照的に、ロフェルは平然としていた。
「お前たちだったのか。あの騒ぎの前に呼び出された奴の中にいるとは思ってはいたんだが」
 フローネと同じようにロフェルの横に更紗が並んだ時、モノアイの声が聞こえた。
『マスター。彼の持っている剣。あれが以前感知した未確認の力のようです』
「あれが…ということは、あの時もロフェルとフローネだったのね」
「で、ロフェル。あのおっさんは誰なんだよ」
 テレビで覚えたカンフーの構えを取りながら聞くビセットに、やっと男が喋る。
「私はアス。そちらのお嬢さんには闇の力の化身と言った方が分かりやすいでしょうか」
「闇の、力…」
 少し身を引く更紗をかばうように一歩前に踏み出して、ロフェルは宣言した。
「アスか…。今すぐ消滅させてやるよ。覚悟しろ」
 その宣言を聞いたアスがステッキを軽く振ると、ステッキは大きなカマに姿を変える。
「分かりました。本気でお相手しましょう…パーゲスト」
 アスの呪文で現れた溶岩がロフェルたちを包み込む。
「ノーマライズ・フィールド」
 フローネの放った魔法が溶岩を中和する。
「おや。これくらいでは役不足ですか。ならば、特別にお見せしましょうか」
 アスは、ヒトには理解できない言語でなにやらつぶやいている。どうやら魔法の詠唱のようだが、その言葉を聞いたモノアイが告げる。
『マスター。あの魔法は強力な魔法です』
「強力って……どんな風に?」
 モノアイに問う更紗。その間もロフェルとビセットが攻撃を仕掛け、フローネが魔法を放っているが、そのことごとくが回避されてしまっている。
『詠唱時間は長時間を要しますが、発動すれば対象物を原子レベルで分解する魔法です』
「げ、原子レベル……どうやったら止められるの?」
『あの魔法は闇の力特有のものです。ならば、こちらも闇の力の魔法を使用すれば妨害可能かと。ただ、闇の魔法は使用者に多大な負担がかかります』
「私に……」
 魔法を唱えるためにステッキを構えようとしていた更紗の手が止まった。
『魔力消費が激しいため、下手をすれば全ての記憶が消し飛びます』
「う……」
 更紗が迷っている間、ロフェルたちが必死に攻撃を続けている。こちらは疲労が重なる一方だが、アスはまだまだ動きを鈍らせてはいない。
(このまま行ったらみんな消えてしまうかもしれない…でも、私が魔法を使えば、みんなが助かる…)
 迷っていた更紗が、意思のこもった眼差しでアスを見つめ、モノアイに教わった魔法の詠唱に入る。
「こいつ、早いな」
「ああ。攻撃があたらねえ」
 ロフェルとビセットが体制を立て直すために離れると、アスが両手を合わせた。
「お遊びはここまでです。私の最強魔法、原子消滅魔法の威力をご覧に入れましょう」
 アスの前に、不可視の力が集約をはじめる。そのエネルギーで、周囲の空間が打ち震えるほどに。
「なんだか激烈にヤバい予感がするぞ」
「フローネ、防御魔法を!」
「はい!…プロテクション」
 フローネの魔法で、ロフェルたちの周囲に光の壁が出現…しなかった。
「無駄ですよ。この魔法の発動時には、そんな魔法など簡単に消滅してしまいます」
「そんな…フローネの魔力でも発動しないのか?」
 焦るロフェルの前で、エネルギーは更に集約していく。
「さあ、そろそろ終わりにしましょうか」
 そこに、ずっと詠唱を続けていた更紗の声が響く。
「…そして天地天上森羅万象に眠る大いなる力よ、その全てをかけて我が前に現れし者に戒めの光を」
「なっ、その呪文は!」
 それを知っているらしいアスが驚愕の声を上げた時、呪文を唱え終わった更紗がステッキで十字をきる。
「全ての次元よ、我が意のままに!…ツァイト・クロイツ!」
 アスを中心に現れた光の十字架が、アスの力を相殺し、動きを完全に封じた。
「ロフェル、今のうちに!」
「おう!」
 アスの正面に回りこんだロフェルが、全身の魔力を込めてレイーズをふるう。
「光よ、集まり給え。我がレイーズへと。我が前に立ちふさがりし物へ裁きを 喰らえ!シャイニング・レイーザー!!」
 光の柱と化したレイーズが、アスの体を切り裂いた。
『確定しましたマスター。彼の持っている剣は光の結晶レイーズです』
「レイーズ…」
「そう。光を剣と化した対魔物用の武器レイーズ。お前のモノアイとはまったく逆の力だ」
「ロフェル…モノアイの事知ってるの?」
「こいつが教えてくれた」
 ロフェルは0番目のカードFoolを取り出す。
「こいつは知識のカードでな知らない事は無いと言い張ってるほどだ。さて、結界を解かなきゃな」
「そうですね。早くパティさんの怪我を治さなくちゃ」
「その前にやる事があるがな」
「やる事って、何?」
 五番目のカードHierophantを取り出す。
「頼むぜ」
「いいのか?」
「この方が良いんだよ」
「承知した」
 Hierophantはカードの中から飛び出した。その姿は法皇の名の通り気品を隠せない王の姿だった。
「レゾンドスリープ」
 ロフェルが呪文を唱えるとフローネとビセットの二人がたちまち眠りにつく。
「二人とも、どうしたの?」
「ちょっと眠らせただけだ。少しばっか記憶を消すつもりだけどな」
「記憶を?」
「ああ、この二人は元々何の関係も無いだろ。ひとまずアスって奴は倒したんだもういいだろ」
「そうだね」
「3人は俺に任せろ。リオが待ってるんだろ」
「あっ…うん」
 こうして戦いは終わりみんなそれぞれの家に帰った。

「ねえロフェル。昨日二人で帰ったとき何かなかった?」
「あった。お前途中で寝ちゃってさ、俺が家まで背負って帰る羽目になって重かったんだぞ」
「なっ、重くないわよ。普通なんだから」
 翌日、昨日の事を覚えていないパティに責められながら学校へと急ぐ二人。
「おはようございます。パティさん、ロフェルさん」
「おはようフローネ」
「ルシードもな」
「おう」
 途中ルシードとフローネの二人に出会う。
「あのー、ロフェルさん。昨日何かなかったですか?」
「何かって何だよ?」
「さあ……」
「お前フローネに何かしたのか?」
「してるわけねえだろ」
 フローネの記憶は完全に消えているようだ。

「昨日ビセットさん急に帰っちゃって何かあったのかな?」
「うん。ちょっと用事ができたって言ってたから」
「よお、リオ、更紗」
 こちらの二人は登校途中ビセットと出会う。
「なあ更紗、昨日すっげえ面白い事なかったか?」
「ううん。知らない」
「何かあったの?ビセットさん」
「いや、この前からなんかあったような気がしてさ」
『どうやらロフェルさんの魔法はうまく言ったようですね』
「うん」


 昼休み。屋上で一人昼寝しているロフェル。
 そこへ更紗がやってきた。
「よお、リオとビセットの方は大丈夫だったか?」
「うん。パティやフローネのほうは」
「こっちも大丈夫だ」
「そう」
「なあ更紗…」
「何?」
「モノアイと離れる気は無いか」
「………?」
「戦うのはコレで終わりにしろって言ってるんだ」
「…だけど」
「なあモノアイ。俺とレイーズじゃ更紗の代わりにはならないか?」
『……いいえ。ロフェルさんはマスター以上の力を持っていると思います』
「と言う事だ。それにお前はまだ子供だ。こんな事背負うには早すぎる。後は俺が変わってやる、お前は普通の恋する女の子に戻れ」
「だけど、それならロフェルだって」
「俺の場合はカードの仲間もいる。俺が戦えない状況だったとしてもこいつ等が助けてくれる」
「ロフェルの言うとおりだ」
「なっ、ゼファー先生」
「ルシード…」
 屋上にはいつのまにかゼファーとルシードの姿があった。
「話は聞かせてもらったぜ。更紗が不思議な力持ってるとは気づいてたけどまさかお前もとはな」
「ロフェルは別にかまわないが更紗、お前がこれ以上戦う必要は無い」
「他人に言われるとムカツクぞ」
「ゼファーの言うとおりだ。何かあったらこいつがどうにかするだろうし俺も手助けぐらいはしてやる。だから安心しろ」
「………モノアイ、どう思う?」
『私はマスターに従います。それに皆さんの言うとおりロフェルさんで何とかなると思いますが』
「…そう」
「どうする、更紗」
「……ごめんねモノアイ。わたし普通の女の子に戻る」
『そうですか。色々とありがとうございましたマスター』
 モノアイはそのまま姿を消した。
「さよなら、モノアイ」
「今度姿見せるときにはもうちょっとデザイン考えろよ」
「良いシーンのところ悪いがロフェル」
「なんだよ?」
「お前昨日ミッションルームのコンピュータに侵入したろ。形跡が残っていたぞ」
「んな馬鹿な。ルシード達を調べるのにハッキングはしたけど俺とわかるような事は残してないぞ……あ」
 誘導尋問に乗ってしまったロフェル。こう言うのはゼファーの方が一枚上手である。
「ばーか」
「罰として一人でミッションルームの掃除を行ってもらう」
「そんなぁ〜」
「ふふっ」


 放課後、教室を出てリオの元へ向かおうと席を立った更紗に、先客が現れた。
「こんにちは、更紗ちゃん」
「あれ?…リオ、どうしたの。いつもは教室で待っているのに」
「う、うん。ちょっとね」
 なんだか不自然なリオの態度に少し首をかしげた更紗だったが、そのまま鞄を持って歩き出す。
「それじゃあ、帰ろう?」
「う、うん……更紗ちゃん、ちょっといいかな?」
「?」
 最後の生徒が教室から出て行って、部屋には更紗とリオだけが残された。
「更紗ちゃん、実は、その…」
「なーに?リオ」
「うん。僕ね、更紗ちゃんのことが…」
 夕陽が差し込む教室で、リオは思い切って言った。
「更紗ちゃんのことが好きなんだ。友達が少ない僕にとっての数少ない友達だけど、でも、その…それだけじゃないんだよ。僕は更紗ちゃんとずっと一緒にいたいんだ」
「リオ……」
 リオの告白に、更紗は呆然としてしまう。
「だめ……かな?」
 悲しそうなリオを見て、更紗が慌てて声をかける。
「ううん。違う、違うよ!……私も、リオが好き。普通とは違う耳を持ってる私でも、そんな事全然気にしないで側にいてくれて、嬉しかったんだよ。リオが側にいてくれるだけで、安心できるの」
「それじゃあ…」
「これからもよろしくね、リオ」
「うん。ありがとう、更紗ちゃん」
 その様子を、教室の外から覗いている影があった。
 たまたま通りかかった、ルシードとフローネである。
「なんだ。リオの奴あれだけ一緒にいながらまだコクってなかったのかよ。」
「2人とも、似合っていますよね」
「そうだな。……さーって。俺たちも帰るぞ、フローネ」
「あ、センパイ」
 扉から離れたルシードを、フローネが呼び止めた。
「あ?なんだよ」
 顔だけ振り返るルシードに向けて、フローネが微笑みかけている。
「センパイ。生まれ変わっても、ずっと一緒にいましょうね」
「ばっ…な、何言ってやがるフローネ!先に帰っちまうぞ!」
 顔を真っ赤にしたルシードの後ろから、嬉しそうなフローネがついていく。

 その頃、ミッションルームをモップがけするロフェルの姿があった。
「くそぉ、紅月とシャドウの秘密ばらしてやろうか・・・」
「なんか言ったか?ロフェル」
「何も言ってません。ランディ先生」
 その向こうで、もう一人がロフェルを見ていた。
「ほらほら。もっと力入れなきゃ汚れ落ちないわよ」
「うるせーぞパティ!見てるんなら手伝ってくれてもいいじゃないか」
「ハァ?なんで私がアンタの手伝いしなきゃなんないのよ」
「そ、それは……」
「おいロフェル!喋ってねえでさっさと終わらせろ!お前が終わるまで俺まで帰れないんだぞ」
「へーい……」
(何で俺だけこうなる…………)

 その日の星空は、いつにも増して輝いているようであった。

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