暗闇が支配する、狭い室内。窓から来る月明かりだけを頼りに、何かの作業をしている男が1人。
黒く長い髪をした、そこそこの顔立ちの男だ。黒いシャツに黒いズボン、そして薄手の黒いロングコートといったように全身を黒一色で統一している。
右手に握られているのは、黒い携帯。
「…ああ、そう急かすな。今、ターゲットを捕獲した所だ」
誰かに対する電話を一方的に終わらせ、彼の右手がコートをめくる。
月光に照らされ、彼のベルトにぶら下がったモノが鈍い光を返す。
銀色に光る、一丁の大口径拳銃だ。
男は左手で窓を開けると拳銃を抜き放ち無造作に狙いをつけた。
「あばよ」
小さく呟き、男は引き金を引いた。
数ヶ月後。
「…以上、発表はティル=ナ=ノーク、監修ロナルド=クレイツィヒでした」
その世界では最大級の学会で結果の発表を終えた直後。ティルを数十人の人物が取り囲んだ。
みながみな、ティルの発表に感銘を受けて色々と質問してきたのだ。
それに一つ一つ丁寧に返していたティルは、ふと会場の入り口を見た。
「! ちょ、ちょっとお待ち下さい。すぐ戻ります!」
押し寄せる関係者を押しのけ、ティルは会場の入り口に走った。
息を切らせて周囲を見まわしても、さっきの人物は見かけられなかった。
「でも…見間違いじゃない、と思うのに」
その場でうつむいた彼女の視線に、床に置かれた小さな紙切れが飛び込んできた。
そこには、走り書きのようにこう書かれていた。
『おめでとう、ティル。心から祝福するよ シオン・V・L』
「シオン…」
ティルは、その紙を胸に抱き、流れてきた涙をぬぐった。
「ありがとう、シオン」
それだけ言って、ティルは会場に戻る。
「…でも、今度は姿も見せてよね?」
その言葉を残して。
<あとがき>
えー、今回は某ポルノグラフィティさんの某3枚目アルバムの一曲目を動かして見たくて衝動的にこんな文章を書いてみました。…が、随分と軌道がずれてしまいましたね。
ども。作者の飼い猫です。
いやー。完全オリジナルキャラクターでの短編が、最近妙に書きたくなってまして。書き上げたのは良いけど送る先が無いので内輪展示。おめでとう、自分。ありがとう、自分。
ま、それはともかく。出来るだけ不自然にならないように心がけたのですが…なにせ、暗殺者なんて書いたこと無かったので。
あ、組曲のフォシル君は暗殺者じゃないですからね。エセも良いとこですよ(自分で言うか?・苦笑)
以上、飼い猫でした。今回も私の駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
それでは…。
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