Ever17 ─the out of infinity─

発売元:KID/ハード:PS2/ジャンル:恋愛ADV/お勧め度:10


<来ましたね〜>
 はい。発売元のKIDさんは「MemoriesOff」や「INFINITY」といった名作と称されるだけの恋愛ADVを作り上げてきたブランドだと言う事は、知っている人は多いと思われます。
 そんな彼らが送り出した今作品。設定上は『infinity世界の世界観的同一世界』が舞台となっています。


<たかが恋愛ADVと侮ることなかれ>
 今作品は、悲しいですがキャラクター面から見たときのインパクトが大きくその他はなおざりというイメージを受ける人もいると思います。
 しかし、そこには大きな誤解が有ると思われますよ。ええ、本当の所。
 Ever17の本髄は、その絡み合ったシナリオと、操作性の良さにこそあるのだと言及しても過言ではないほどです。それほどまでに引き込まれるシナリオ・煩わしさを一切感じさせないシステムが大きいものと言うことですね。
 もちろん、キャラクターもツボを押さえた作成法に則っているだけあって魅力的な存在が顔を並べていますよ。


<システム面より>
 今作品には、操作性を向上させる工夫がいたるところに見られます。それを順を追って、少しずつ説明して行こうと思います。

1.セーブ機能の充実さ
 Ever17には、セーブ機能として大きく2種類設けられています。
 1つは、通常のセーブ。メモリーカード1枚で30ヶ所。これだけあれば足りなくなる事は少ないでしょうね。
 もう1つが、クイックセーブです。
 自動で通常のセーブスロットとは別の場所にセーブしてくれるこの機能。これが便利なのですよ。
 シーンタイトルが変わる度、そして選択肢が出現する度に自動セーブを行なってくれます。しかも30ヶ所。
 さらにこのクイックセーブデータは、電源を落としても消えません。消えるのは、通常ロードをした時&クイックセーブが30を越した時のみ。これはありがたいです。
 さらにさらに、このクイックセーブはアナログコントローラのR3ボタンにショートカット登録されているので、何かしらの記録を残したい時には瞬時にセーブする事も可能です。
 注:クイックセーブデータをロードすると、選択したクイックデータ以降のクイックデータは破棄されるのでご注意ください。

2.メッセージスキップやバックログ
 従来のテキストAVDにも見られた『バックログ』『既読スキップ』『既読選択肢変色』も、きちんと備えています。
 特にバックログでは、声のみを順を追って再生したり、既読メッセージと選択した選択肢がそれぞれ別の色で表示されます。ここを見れば既読メッセージであるかどうかの確認が一瞬で行えるわけですね。
 そして既読スキップ機能は、ボタンの一押しで設定・解除が可能です。これも、良く見られるようでそうそう無いシステムだと思いますよ。
 そして、このゲームには『強制スキップ』なる機能もあります。これは押している間だけ適応されますが、既読・未読関係無く全てスキップする凄い機能です。急いでいる人にはお勧め…と、言いたいのですが私はあまりお勧めしません。未読メッセージはきちんと一度は読んでほしいです。

3.ボイスの同期・オートモード
 これも、最近は良く見られるシステムですね。キャラクターの声に合わせて文章を表示するスピードを調節する『ボイスの同期』、そして自動改行を行なう『オートモード』。
 これにより、手を離して眺めているだけでドラマのように展開していく物語を眺める事が出来ます。
 まあ、選択肢では自分で選択できますしね(当たり前)。


<物語面より>
 舞台は、2017年。水深51mの海中に浮かぶ海洋テーマパーク『LeMU(レミュウ)』。主人公達は突然の警報と共にLeMU内に取り残されてしまいます。
 僅かに残った人物が集まり、海上への通路が閉鎖されたこの状態から何とか脱出しようと試みますが…
 限られた閉鎖空間で繰り広げられる、常識と非常識の混ざり合った出来事。彼は・彼女は、この『海底の楽園』から無事に脱出することができるのでしょうか?

 今作品には、主人公の視点となる人物が二人います。それが『倉成武』と『少年』です。
 彼らの視野を通して、物語の謎を解き明かし、無事に地上へと逃れる事が目的となります。
 閉鎖空間と言う設定は一種ありふれたものではありますが、そこに映し出される人物達の相関関係は『見事』の一言に尽きます。詳しくは書きませんが、下に簡単な人物紹介を追記しておきますので。


<全体を通して>
 1人1人のシナリオをクリアしただけでは、全ての謎を解き明かすことは不可能です。彼らすべてのEDを見たとき、このLeMUに隠された・LeMUに取り残された人物に課せられた物語が浮き上がってきます。
 はっきり言って、手放しでお勧めします。問題点を挙げることが難しいほどに。
 確かに、1ヶ所だけ誤字を発見しましたが、1人あたり16時間前後にも渡る物語が5人分…いや6人分入って誤字が1ヶ所のみ、と言うのは凄いと思いますよ。
 音楽も緊張感を保つ事に役立っていますし、時間のある方でPS2をお持ちの方はどうか手にとって見てくださいませ。

 まあ、我が侭を言えば…彼ら(謎)の顔グラフィックが欲しかったですね。ちょっと寂しかったですよアレは。それと選択肢がちょっと少なく感じましたね。物語をしっかり作ると結果的に少なくなるのですが(苦笑)。




<簡易キャラクター紹介>
 主要キャラクター7人に対する、簡単な説明です。それぞれの紹介のあとに個人的なことが書かれていますが、そこは無視されてもOKですので(苦笑)

1.倉成武 Takeshi Kuranari
 某大学に在籍する20才の青年。Ever17の主人公視点の1人。とても熱血青年で、あらゆる場面で皆を引っ張ります。どれだけ緊迫した場面でもサラリと出せる寒いギャグも彼の持ち味の1つでしょう。頭脳戦はちと苦手?
 ↑彼こそ漢の中の漢。そのスタンス・行動理念共に格好良いです。

2.少年 Syonen
 とある理由により全般健忘(一種の記憶喪失)となってしまっている年齢不詳の少年。Ever17の主人公視点の1人。記憶がない所為か、妙に冷静に物事を見る事があり、すんなりと視点をかぶせる事の出来る人物です。
 ↑まさかそう来るとは…第2位。彼の正体には意表を突かれました。

3.茜ヶ埼空 Sora Akanegasaki
 LeMU開発部のシステムエンジニアを職業とする24才の女性。丁寧で温和な性格で、どんな場面でも正確な状況分析を行う事の出来る人物。
 ↑白いチャイナドレスが映えるお姉さん。ある意味、一番謎かも。

4.田中優美清春香菜 Yubiseiharukana Tanaka
 恐らく、昨今で名前の長さの1・2を争う人物。LeMUに春休み中の短期バイトとして来ている18才の女子大生。明るく楽観的な人物で、倉成武と共に物語を引っ張っていきます。通称:優。
 ↑いや…彼女の過去には色んな意味で驚愕。名前にも驚愕。『I am You!』

5.小町つぐみ Tsugumi Komachi
 攻撃的で寡黙・悲観的と、自分の殻にこもってしまっている少女。LeMUを訪れたのにはとある理由があるようですが、それを誰にも打ち明ける事無く行動しています。
 ↑まさかそう来るとは…堂々の第1位。黒い服に身を包んだ謎だらけのキャラ。一番のお気に入り(爆)

6.松永沙羅 Sara Matsunaga
 頭脳明晰でちょっとひねくれた16才の女子高生。LeMUには高校のイベントで訪れる事となります。優の高校時代の後輩にあたるためか、彼女だけには素直になっているようにも感じますね。
 ↑まさかそう来るとは…第3位。多くは語りません。

7.矢神ココ Coco Yagami
 天真爛漫で無邪気な14才の少女。常に犬のピピと行動を共にし、純粋であるが故の視点で様々な物事を見ています。寂しい事が大嫌いで、独りになることを怖がる一面もあります。
 ↑あえて何も語りますまい。ただ、一言だけ。彼女のシナリオが全てを結びます。







<あ、そうそう。>
 この物語には、至る所で17の倍数が現れます。それを全て羅列してみるのも楽しいですよ。17・34・51・68・85・102・119。是非見つけてみて下さい。
 それともう1つ。KIDさんの作品として忘れちゃならない『ニンネコ』。ここにも1回だけですが顔を出します。MemoriesOffTにて初登場した『ニンニンネコピョン』。実はinfinityにも出てきましたし他の処にも居るという情報がありますし。KIDさんのマスコットキャラなのかもしれませんね。


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