これから起こる話はピート、メロディ、ローラ、リオの四人が体験したちょっとした不思議な体験です・・・

『ある日の物語・・・』


「おお〜い、リオこれからちょっと遊びに行くからちょっと付き合ってくれよぉ。」
「リオちゃん、いっしょにいくのぉ」
ある朝の出来事である。エンフィールドのトラブルメーカーのうちの一人であるところのピートがメロディと一緒に『陽のあたる丘公園』の大木の下で本を読んでいたリオに声をかけた。
「別にいいけどピート君、何処に行くの?」
「それは付いてからのお楽しみってヤツよ!」
「ふーん、そう言えば、メロディちゃんは何処行くか知ってるの?」
「うんっ!あのねぇ・・・」
「あっ、メロディ言っちゃダメだって!!」「モガモガ・・・」
慌ててメロディの口に手を当てるピート。
「ふみぃ〜、ごめんなのぉ〜。」
少々しょぼ〜んとしながらピートの手を外し謝るメロディだったが、リオとしてはメロディも知らない方が嬉しかったりした。自分だけ何も知らないと言うのは結構寂しい。
「ええ〜とっ・・・もしかしていくのは僕たち三人だけ?」
出来れば否定して欲しい質問だったがリオの願いは辛くもうち砕かれる。
「おうっ、そうだぞ。それがどうかしたか?」
「あ、あの・・・その・・・せめてもう一人くらい誘わない?僕一人行き先を知らないって言うのは凄く不安なんだけど・・・」
「ハハハ〜、なっさけねぇな〜、しょーがねぇな〜、じゃあ誰誘う?」
「とりあえず、色んな人に聞いて見ようよ。」
と、言うわけで町中の知り合いに同伴を頼んでは見たが、こう言うときに限って都合よく暇な人間というものはいないものである。が、セントウィンザー教会在住のローラさん(14歳)が快く承諾してくれた。どうやら彼女も暇を持て余していたらしい。今日はセリーヌやネーナが二人ともいて余裕があるようだ。
「と、言うわけでピート探検隊、出発だぁ〜」
「出発、なの・だぁ〜」


 そして、ここはエンフィールドの北東に位置する雷鳴山。モンスターが出る危ないところでもあるが、同時にピクニックコースとしても知られている山である。


「おお〜い、二人とも、早く来ないと置いて行っちゃうぞぉ〜」
「ふみぃ〜ローラちゃんもリオちゃんもはやくくるのぉ〜」
元気のいい声が聞こえてくる、ピートとメロディだ。
「二人とも、ペースが速いよぉ、もう少しゆっくり行こうよぉ」
「そうよぉ〜、大体、レディにこんな苦労させていいと思ってるの〜」
ぐったりと疲れながら歩いているのは勿論ローラとリオ。二人ともからり疲れているようだ。当たり前と言えば当たり前だ、何せ一緒にいるのがピートとメロディ。
この二人にペースを合わせられるほど二人ともタフではない。そんな二人を見てピートはヤレヤレと言った感じで
「しょーがねぇ〜な〜。それじゃあちょっと休もうぜ。」
「うん。やすむの・だぁ〜!!」
ピートとメロディが足を止める。
「よかった〜」
「これでようやっと休めるわね。」
リオとローラは顔を向き合わせながら、ふ〜、と言った感じでその場に座り込んだのだった。

「そう言えば、これから僕たち何処へ行くの?」
暫く休んでからリオがピートに尋ねる。
「う〜ん、そろそろ教えてやるか。聞いて驚け、これから行くのはなんとっお化け屋敷だぁ〜」
「ええ〜」
ピートとメロディは心底嬉しそうだがリオとしてははっきり言って行きたくない。
『ええ〜』と言う一言が全てを物語っている口調だった。
「本当にあるの?そのお化け屋敷。」
メチャメチャ不安がりながら、出来ればそんなものあって欲しくないと言う願いを込めてリオがピートに訊ねた。
「あったりまえだろ〜。この『ピート探偵団』の情報網をなめちゃあいけないぜっ!!」
「いけないのだぁ〜」
自慢げに言うピートとメロディだが、ここまで付いてきてまだいまいち信用できないと行った感じのリオの代わりに、今度はローラが聴く。
「で、その情報はどっから仕入れてきたの?」
「ジョートショップ」
「ええ〜、お兄ちゃんのところから!?」
これにはローラもビックリ。まさかピートがジョートショップから情報を得ているとは思いもよらなかったからだ。
「おうっ、ジョートが店で暇そうにしてたからちょっと聞き出してみた。」
「それって凄く危ないんじゃないの?」
不安そうな声でローラは訊ねるがピートいたって簡単に
「それがダイジョブそうだった。『久しぶりに楽な仕事が来て嬉しい』みたいな事言ってたから。」
「そうなのかもしれないけど・・・」
「で、そのお化け屋敷って何処にあるの?」
ピートの話から危険な物ではないと判断したリオが肝心なことを聞く。もっとも恐いことに変わりはないのだが・・・
「そう言えば結構歩いたからなぁ・・・この辺じゃないか?」
きょろきょろ見回しているピートに、どうやらさっきまで辺りをうろついていたらしいメロディが少し離れたところから声をかけてきた。
「うみゃあ〜、ピートちゃんおばけやしきみつけたのぉ〜」
「ホントかっ!さっすがメロディピート探検隊の『サブ隊長』のことだけはあるぜっ。」
「メロディさぶたいちょうなの・だぁ〜!!」
「よしっ見つけたなら善は急げだ、さっさと入ろーぜ。」
大喜びで屋敷へ向かっていくピートとメロディを余所に取り残され半分行きたくないでいるの半分なローラとリオだったが
「どーしてこんな所に屋敷があるの?」
「あたしに聞かないでよぉ〜。」
「ねぇローラちゃん」
「なに?」
「ここにいるのもなんだかんだいって恐くない?」
そう言えばとローラは辺りを見回してみる。二人だけのせいか何気に恐い。
「ねぇ、リオ君」
今度はローラの方からリオに話しかけた。
「ピート君達と一緒にいた方が少なくてもここにいるよりは安全じゃない?」
「そうだねっ」
恐いのをこらえて二人は頷く。
「それじゃあ」
「いそげー」

ごくんとつばを飲み込みドアノブを汗と一緒に握る。緊張の一瞬である。
「それじゃあ、入るぞ。」

ギィィィ・・・

ピートがドアを開けて四人は屋敷の中へ入った。



「ねぇ・・・」
「ん〜?」
屋敷に入り少しして、不意にローラが切り出した。
「なんか、不思議な感じしない?」
「俺は別に何も感じないけど。」
「ふみぃ〜?メロディもな〜んにも感じません。」
「ボクはどっちかって言うと、恐いんだけど・・・」
「もぉ〜、何怖がってるのよっ!」
「だってぇ〜、なんかお化け屋敷みたいで恐いんだよぉ」
リオの情けない返事に、幾分余裕のでてきたローラはさっきまでの自分を棚に上げて憤慨したが、確かに恐いという感想は間違っていない雰囲気ではある。今は昼だというのに屋敷の中は暗いし、所々に蜘蛛の巣も張っている。お化け屋敷と言う例えが正にぴったりである。

バタンッ!!

「ひぃ〜ッ」
いきなり閉まったドアにビックリしてリオはローラに抱きついた。普段のリオなら絶対にないことだが、今は子供しかいない。情け無いも糞もない。
「キャアッ、ちょっと、リオ君抱きつかないでよぉ〜」
突然抱きつかれたローラは顔を真っ赤にしながらはがそうとするが、リオがそれを許してくれない。火事場の馬鹿力とでも言うのはこういう物だろうか?
「おお〜、リオってば大胆だな。」
「リオちゃんだいたんなのぉ〜。」
一方ピートとメロディは案外余裕で、どうでもいい茶々を入れている。由羅が見たら真っ赤になって怒ったであろう状況である。

『みんな・・・・・僕の話を聞いて・・・・・』

「ハハハ〜、誰だぁ〜、お化けみたいな声出して〜、そんな事してもオレは恐くも何ともないぞ。」
「メロディも何ともな〜い」
「えっ、今のピート君じゃないの?」
「ひぃ〜っっっっ」
「だから、そんなに抱きつかないでってばぁ〜!!!」
とことん情け無いというか恐いもんは恐いと言うべきか、リオはローラにしがみついている。一方のローラは最早怒れなくなって顔を赤らめて色だけになっている。

『お願い・・・・・』

また聞こえてきた声をピートは
「って言うことは・・・」
段々青くなっていく。
「マジでお化けか!?」
「わ〜い!!おばけ・だぁ〜!!!」
ようやく自体を把握したピートが顔を青くし始めた。そんなピートに不幸は重なる。
イヤ、どっちかというとその場にいた人間の方が、迷惑を被ったという点では不幸だったかもしれない。ピートの肩に何かがくっついた。
「ふみぃ〜、ピートちゃん、おかたにくもさんがくっついてますよ。」
「へ?くもってあのお空にプカプカと浮いてるアレか?」
「ちがいま〜す。かさかさと動いてすをつくる蜘蛛さんのほ〜です〜。」
「へ?って言うことはアレか?あの足が8本あって頭と胴しかない上に目玉が沢山あるらしいアレ?」
「はい〜。そ〜で〜す。」
ピキッ!・・・・・
「ウッギャアアアアア・・・・くっ・・・蜘蛛おおおおおおお!!!!誰かっ誰か取ってくれえええええっ!!!!」
と、ピートが叫びながら屋敷中を駆け回り始めた。
「そんなに暴れてたら取れる物も取れないわよっ!!!」
「とれないで〜す。」
ごもっともな突っ込みをローラは入れるがピートはそれどころではない。一方メロディは・・・やっぱり自体を良く把握していないらしい、どっちかというと喜んでいる様だ。

『・・・・・・』

声の主もどうしていいのか分からなくなってしまったらしく、とうとう絶句してしまっていた。多分今ここで一番冷静であろうローラは、どうにかしなければ、と考えメロディを呼ぶ。
「メロディちゃん、ちょっとこっち来て。」
「はい。なんでしょう?」
トテトテとやってきたメロディに、ローラはリオを強引にひっぺかし預ける。
「リオ君と遊んでて。」
「ふみぃ〜、リオちゃん、メロディとあそぶですか?」
メロディに声をかけられ、それまで縮こまっていたリオがふと我に返った。
「・・・おおおおわあああああっ!!!」
ビックリして慌ててメロディから離れるリオ。段々それまでの自分の行動を思い出してくると、ボンッと言う音と共にリオの顔が真っ赤になった。
「リオちゃんどーしたですか?」
「ななななななななんでもないよっ!!!」
「ふみぃ〜、そうですかぁ?」
相変わらず真っ赤な顔をしてどもりながら答えるリオに、人差し指をあごに当て、首を傾げながらメロディは言う。
「ゴ、ゴメン・・・・」
「ふみぃ〜リオちゃんなんであやまるですか?」
「なんでって聞かれても・・・とにかくゴメンネ。メロディちゃん」
「メロディきにしてないで〜す。」
「ははは、有り難う、メロディちゃん。」
「はい〜。どーいたしまして。」

「・・・向こうでビミョーなラブコメやってるし・・・なんであたしにはあー言うラブコメが回ってこないのかしら・・・」
声の主に話しかけようと思ったものの、ちょっと気になって振り返ってみた途端にラブコメが始まっていて、オバケ(?)にもメロディとリオにも声をかけられないままローラは棒立ちしていたが、ハッと我に返っておばけ(仮)の方に声をかけようと
「ねぇ〜、貴方は誰ッ!?」
と館中に響き渡るくらいの大声をだそうと出来るだけ大きな声でおばけ(仮)に訊ねた。ところが、帰ってきた返事は
「誰かあああ〜〜蜘蛛っ蜘蛛取ってくれえええええ〜!!!!」
と言うピートの声だった。
「嗚呼〜もうっ!邪魔しないでッ!お願い答えてっ」
「蜘蛛取ってくれえええええ〜!!!!」
「ピート君は答えなくていいから!!お願い答えて!!!」
「蜘蛛取ってくれえええええ〜!!!!」
「ねぇ、貴方は誰?」
わめくピートを無視してローラは叫んだ。館の中を大暴走しているピートを押さえる力も体力もローラは持ち合わせていない。
「早く蜘蛛取ってくれえええええ〜!!!!」
「誰なのっ!?」
「お願いだから蜘蛛取ってくれえええええ〜!!!!」
「ねぇってばあ〜!!」

『分かったよ・・・』

「本当に!?ありがとう。」
どこから聞こえたかは相変わらず分からなかったが、自分たちの声でないと言うことは多分おばけ(仮)だろう。ローラはようやっと返事をしくれたのが嬉しかったらしくおばけ(仮)に思わず礼を言ってしまった。どっちかというと、逃げずに話しかけてきたローラにおばけ(仮)が礼を述べなければならないであろう状況に、である。
ところが、おばけ(仮)がでてきたのはローラのところではなくピートのところであった。マッハの勢いで走ってそうなピートにプカプカと浮きながらではあったが互角について行っている。そのおばけ(仮)はピートの肩に未だにひっついていた根性のある蜘蛛をヒョイとつまんで、そこら辺にあった蜘蛛の巣にくっつけた。
「もう大丈夫だよ。」
「ほっ、本当か?」
「うん、ちゃんと巣に帰って貰ったよ。」
「いっ!?なんで殺さないんだよ!」
「それは・・・」
おばけ(仮)が驚いて質問をするピートの質問に答えようとしたところで、ローラがプンスカした顔で迫ってきた。
「ちょっとアナタ!!こんなにカワイイレディの声には返事をしないで、わめいてる男の方に行くって言うのはどう言うこと!?」
「それはどっちの声に答えようか迷ってたんだけど、そっちの男の子の方を何とかしないと僕が壊されちゃうと思ってね。」
良く分からないことを言っているおばけ(仮)をローラはマジマジと見る。年の頃は11、2と言ったところだろうか背丈は自分とあまり変わらない。優しそうな目をしている。髪はリオと同じくらいで色は黒。顔立ちは良くもなく悪くもなく普通と言った感じだ。声やしゃべり方、体つきを見ると男の子の様だ。少なくとも悪いおばけ(仮)ではないようだ。
そんな事を考えていたローラと、そんな事は考えてもいなかったピートに、ふと同じ疑問が頭をよぎった。
「「『僕が壊れる』ってどう言うこと(だ)っ!!?」」
「え、え〜と〜、それは・・・こんなとこじゃなんだから、向こうで話すよ。それに向こうにいる二人も分かった方がみんなすっきりするでしょ?」
「お菓子とお茶は!?俺もぉ〜腹減っちゃって減っちゃって・・・」
「勿論出すよ。だいじょーぶ、取って喰いやしないから。安心して、ネ?」
そう言っておばけ(仮)はニッコリ笑って二人にウインクをした。すると何故か二人はこのおばけ(仮)を信用することが出来た。『安心して』と言われたとき何故かそう言われただけなのに本当に安心できてしまったのだ。さっきまでの不安やどたばた騒ぎが嘘のようである。
「本当かっ!?じゃあじゃあ早く行こうぜっ!!」
「ウン。・・・ほら、みんな、早くおいでよ。」
おばけ(仮)が相変わらずニッコリと笑いながら他の三人を人を手招きしている。
「ふみぃ〜あなたはだれですかぁ〜?」
「それをこれから説明するんだよぉ〜」
「分かりましたぁ〜メロディ行くで〜す。」
「ほら、他のみんなも早く早く〜」
何故だろう、おばけ(仮)が気持ち生き生きしているように見える。
「ねぇ〜ローラちゃんも行っちゃうのぉ〜?」
リオが向こうの方から不安そうにローラに聞いてきた。
「そうねぇ〜・・・あたしも行くわ」
そう言うとローラもおばけ(仮)が向かった方へと行ってしまった。後に残されたリオはと言うと
「待ってよぉ〜僕も行くよぉ〜」
と大慌てでローラの後を追いかけて行った。
誰もいなくなったソコは気のせいだろうか、リオ達が入って来た時よりも明るくなったようだった・・・





「さて・・・っと」
一通りお菓子とお茶を出し終えたところで、おばけ(仮)が話を始めた。
「まずは僕の紹介をしたいんだけど、その前に名前を教えてくれるかな?」
「あたしはローラ・ニューフィールド。」
「ピート・ロスってんだ。」
「メロディ・シンクレアですぅ〜」
「ええ〜っと、リオ・バクスターです。よろしく。」
他と違い少々おどおどしているリオを見ておばけ(仮)はクスッと笑い
「ローラにピートにメロディにリオか・・・みんないい名前だね。」
「ありがとう。で、貴方はなんて言う名前で、何者なの?おばけじゃないの?」
さっきから気になってしょうがなかったローラはおばけ(仮)をせっつく。
「ハハハ、オバケじゃないよ。僕は・・・ツクモって言うんだ。」
少年は少し考えた様な間のあとツクモと名乗った。
「ツクモかあ〜。お前もいい名前じゃん。そう言えば、どうしてお前こんなとこにいるんだ?俺はここお化け屋敷って聞いたぞ。」
「それは・・・ええ〜っと、そっ、そう僕生まれつき体が悪くて此処で休養してるんだ。それにここはお化け屋敷なんかじゃないよ。」
「ちぇっお化け屋敷じゃなかったのか・・・」
「ハハハ、残念でした。」
少し残念そうなピートにツクモは笑いながら答えた。
「そんなに悪いの?」
今度はリオの少し心配した声にツクモは首を慌てて横に振り
「イヤ、それほどじゃないんだ。ちゃんと動けるし遊べるし、ただ友達はいないんだけどね・・・」
「そうなんだ・・・」
「ツクモちゃんさびしかったですかぁ〜?」
「そんな事は・・・ちょっとあったかな。」
今はそんな事はないが、友達がいない寂しさはリオも知っている。自分も少し前までそうだったから。
「そう言えば、あたし達がここに入ってきたとき『話を聞いて』って言ってたわよね。なにを聞いて欲しかったの?」
ローラの不意の質問にツクモは少し驚いたが、やがて顔をうつむけて赤くしながら呟いた。
「笑わない?」
「むしゃむしゃむしゃむしゃ・・・ゴックン。話の内容にもよるな。」
「そんな事無いよ!!笑わないよ。」
どうやらそれまで一生懸命に食べながら話を聞いていたピートのセリフをリオが否定する。
「ホントに?」
「うん。ホント。」
「実は・・・」
「実は?」
もじもじしながら言う付くものセリフをリオが山彦する。
「その・・・一緒に遊んで欲しいんだ・・・」
「そう言うことなら全然オッケーだぜ。なぁ?」
「ウン」
「勿論よ。」
「ふみぃ〜、ツクモちゃんいっしょにあそぶですぅ〜」
ピートのあっさりとした返事にツクモは最初戸惑っていたが、他の三人の返事を聞くと次第に嬉しくなってきたらしく大はしゃぎで
「それじゃあそれじゃあなにして遊ぶっ!?」
「よしっそれじゃあ最初は・・・」
「最初は?」
じらすピートに迫るツクモ。すると、ピートはいきなりツクモの手をつかんで
「オニゴッコだぁ〜!!!」
といいながら逃げ出した。
「うっわ〜い!オニゴッコ・だぁ〜!!!」
「速く逃げなきゃ。」
そう言いながら嬉々としてメロディとリオも逃げ出した。あとにはポツーンと残されたローラが、
「あたしがオニって事?」
と誰もいない空間に問いかけるが、勿論誰からの返事もない。何故だかよう分からないがローラは次第に腹が立ってきてキッと目を鋭くし
「絶対みんな捕まえてやるんだからぁ〜」
と鬼ごっこのルールを無視したことを叫びながらみんなを追い始めた。


 それから数時間というもの5人は遊び倒した。オニゴッコに始まりかくれんぼ、缶蹴り、ビニールボールを使ったリアルエレベーターアクション、風雲た○し城ごっこ等々、思いつく限り遊び倒した。
やがて日が傾き赤い光がめどを照らす頃
「ハァ、ハァ、ハァ、今日はとても楽しかったよ。」
遊びに一区切りついたところでツクモが言い出した。
「ええ〜もう止めちゃうのかよ。もっと遊ぼうぜ。」
まだまだ遊び足りないと言うことをピートが代表して言う。他の三人も同じ様であったが、ツクモは少し寂しそうに
「僕もそうしたいのは山々だけど、行かなくちゃいけないから・・・」
「えっ?だってあなたここで休養してるんじゃ・・・」
さっき聞いたこととは違うことを言っているツクモにローラが訊ねる。
「・・・ゴメン本当は僕休養でここにいるんじゃないんだ・・・」
「それじゃあ本当の君は一体誰?」
リオに訊ねられツクモは自分の正体を四人に告げた。
「僕は・・・この家自身さ。」
「この家自身?」
「そう。」
リオの言葉にツクモは相づちを打つ。
「名前も性格に言えば無いんだ。これでも本当は九十九神って言う神様の一種になる資格を得た家なんだ。」
「ツクモガミってなんだ?」
ピートには入ってることはチンプンカンプンだったがそれでも理解しようと一番重要そうなことを訊ねる。
「ツクモガミって言うのは、長いこと物を使っているとその物に魂が宿ってやがては神様になる、って言うか神様になった物のことを言うらしいんだ。」
「それじゃあツクモちゃんはかみさまなんですか?」
「ううん、だからこれからなりに行くんだ。でも、その前にどうしてもやりたいことがあったんだ。それがみんなと遊ぶことだったんだ。折角こうやって魂が宿ったのに一人だったし、家にいた蜘蛛やネズミは大切な家族だけど一緒には遊んでくれない。
だから・・・」
必死になって喋っているツクモの気持ちがみんなに痛いほど伝わってくる。そんなツクモにローラは訊ねた。
「今日は楽しかった?」
「うん!スッゴク楽しかった。もっともっといっぱい遊びたかった。でも・・・」
「でもは無しよ。神様になったら今度はあたし達に会いに来ればいいじゃない。」
「そうか・・・そうだよねっ!!それじゃあ俺頑張って神様になってみんなの所に会いに行くよ。」
「おお〜、それじゃあ早く神様になってくれよな。」
「ボク達ちゃんと待ってるから。」
「ふみぃ〜、メロディも待ってま〜す。」
「みんなツクモ君が神様になるのを祈ってるからね。」
ピート、リオ、メロディ、ローラに励まされツクモは「うん」と頷くと空へと上がっていった。
「それじゃあみんなバイ・・・」
「ツクモ君っ!!『バイバイ』じゃなくて『またね』だよ。」
ツクモの言葉を遮りリオが正す。それを聞いたツクモはニッコリと笑って
「うん。みんな、本当にありがとうっ!またねっ!!」
「またねぇ〜」
「またなぁ〜」
「またねぇ〜」
「ふみゅう〜ツクモちゃんまたねなのぉ〜」
四人のしばしの別れの言葉を聞いてツクモは空に消えていった。あとには四人のみが残されていただけで、家も一緒に消えてしまっている。


「ツクモ、行っちゃったんだな。」
しみじみとピートが言う。彼にしては珍しい口調であったが誰もその事には触れない。
「ふみぃ〜いっちゃった。」
メルディも似たようなことを漏らす。
「また逢えるよね」
「当たり前じゃない。ちゃんと来てくれるわよ。」
リオの問いかけにローラが答える。
「もう真っ暗になっちゃたぞ。と言うわけでエンフィールドまでかけっこだ!よ〜いどんっ!!」
そう言いながらピートが走り出した。
「あっ、ピート君ずる〜い。」
「ピートちゃん待ってなのおぉ〜」
「ああーっまたあたしを置いていくっ!!もうっ!ちょっと!!待ちなさーいっ!!!」

無事に四人がエンフィールドについたのはそれからすぐのこと。ツクモが無事神様になって四人に会いに来たのは、何時のことかは分からないけどどうやらそう遠くのことではないらしい・・・



〜とりあえずおしまい〜




あとがきちっくに

 はい、ようやっと完成です。今回は苦労しまくりました。ネタを絞りだすのにもSSを書くのにもです。おまけにいざ最後まで書いてみたら偉く長くなってしまったし
・・・読んで下さったかたがいれば心からの感謝をいたします。(イヤ、マジで)

 ツクモガミと言うのは実際あるそうで、マンガで読んだうろ覚えの知識を強引に引っぱり出してきてみました。(ちなみに地獄教師○〜ベ〜ではないです)

 最後にデジデジさん「二組ぐらいののカップルが旅先でトラブルに巻き込まれる」と言う方で書いてみましたが、実際旅にはなりませんでしたね。おまけにカップルという物を「二つの」と言う意味に強引に解釈しちゃいました。大変申し訳ないです。
もう一つの方は出来れば本編でやろうかと考えてます。何時になるかはまだネタが思いつかないので分かりませんが、気長に待っていただけると嬉しいです。

 あとがきまで長くなってしまって申し訳ないです。それでは、最後まで呼んで下さった皆様に感謝しつつこの辺で、ではまた〜

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送