新聞コンビファイル 3rd



レナ「ねえ、ちょっと助けてよ」
リッド「あ?なんだよいきなり?」
 リッドが保健室で居眠りをしていると、レナがリッドを叩き起こしてそう言った。
リッド「ったく!人の至福の時を感じてる時にくだらないとこ言ったらぶっ飛ばすぞ」
レナ「すっごく大変なことなのよ!」
 そこまで言って、ようやくリッドも真面目な顔になった。
リッド「なんだ?何かあったのか?」
レナ「うん。実は・・・・・・ストーカーに付きまとわれてるの!」
リッド「はぁ?すとーかー?」
 リッドは気が抜けた声で言った。
レナ「あっ、バカにしてるでしょ!これ見なさいよ!」
 レナは携帯のディスプレイをリッドにつきつけた。
 そこには・・・・・・・
 『おはようございます。今日も良い天気ですね。今日もレナさんの姿が見れるかなと、楽しみにしている自分です』
リッド「なあ、今日って今朝から雨が降りそうな天気じゃなかったっけ?」
レナ「まだあるんだから」
 レナはさらに携帯をいじくってリッドにつきつけた。
 『今日もレナさんの姿が見れました。このまま天国に行ってしまいそうなほど心が踊っています。では、学校頑張ってください それでは』
リッド「・・・・・・こりゃまた・・・」
レナ「ここ二日間ずっとこの調子なのよ。非通知だし」
 レナはうなだれながら言った。
レナ「留守電の方もあるけど、聞く?」
リッド「留守電の声で犯人を特定できないのか?」
レナ「変声機で声を変えて話してるのよ。はぁ〜・・・」
 レナもついには隣のベットに寝転んだ。
リッド「しっかし、お前なんかにストーキングする奴なんているんだな」
レナ「なにそれ!?酷い!」
 レナはリッドに飛び掛かった。
リッド「だぁー!なにすんだ!」
レナ「うるさい!リッドもストーカー探しを手伝いなさい!」
 ドタンバタンと二人が暴れる音が響くが、二人以外に誰もいないので、うるさいという注意も無かった。
 そして、ついにレナがリッドにマウントポジションを取った。
レナ「ウフフフフ、さ〜て、もう一度聞くわね。私と一緒にストーカー探しを手伝ってくれる?それとも・・・・・・」
 レナの手がワキワキと怪しく動く。
レナ「リッドの弱点くすぐっちゃおうかなぁ〜」
 怪しい笑みを浮かべるレナに対して、リッドの顔は引き攣っていた。
リッド「くっ・・・・・くそ!この!離せぇ!」
 リッドは抵抗したが、どう足掻いてもレナの束縛は解けなかった。
レナ「さあ、どうする?」
 ニッコリ笑って究極の選択を迫ってくるレナ。
 そのレナに対して、無力・・・・いや、情けないほどおもちゃにされているリッド。
リッド「・・・・・・っ!」
 リッドは悔しさに歯を噛み締めるたびに、口からギリギリと音が鳴った。
レナ「あれ?返事が無いなぁ〜」
 レナはニヤリと怪しげに笑いながら言った。
 レナのその手がだんだん近づいて来る・・・・・・
リッド「チッ、わかったよ!協力すればいんだろ。すりゃ」
 リッドがそう言うと、レナは満足な笑みを浮かべてリッドから降りた。
レナ「よし、じゃ、放課後ね」
 そう言って、レナは保健室を出て行った。
リッド「いつにも増して強引だったな。こりゃマジで参ってんなあいつ・・・・・・」

 そして、放課後・・・・・・
レナ「よーし!ストーカー捕獲作戦開始!」
リッド「お〜・・・・・・」
 やる気まんまんのレナに対し、リッドはやる気ゼロ。
レナ「なによ、もっとやる気を出して!」
リッド「ネタが無くなったと思えば、今度は実力行使に出るなんてな・・・・・・・」
レナ「何か言った?」
リッド「いいや、なんも」
 リッドは、レナは自分を頼りにしているんだ。可愛いところもあるじゃないか。と、無理矢理自分に言い聞かせていた。
リッド「で、これからどうするんだ?」
レナ「とりあえず、リッドが決めて」
リッド「はぁ?俺が決めんのかよ!?」
レナ「リッドが言って間違ったこと無いからね」
 そこまで言われたら、リッドも自分で決めるしかなかった。
リッド「う〜ん、とりあえず囮っていうのはどうだ?」
レナ「囮作戦ね。で、どうするの?」
リッド「とりあえず、レナはそこら辺をブラブラ歩いていればいい。電話がかかったらすぐに合図を送れ。そのストーカーはレナの様子を見てメールを送っているようだから、その時に電話を使っている奴を尋問すればいいんじゃねーのか?」
レナ「へぇ〜、なるほど」
 レナはうんうんと頷いた。
レナ「私もその作戦を考えていたのよ」
リッド「はぁ!?」
レナ「うん、さすがリッド、意見が合うわね」
リッド「全然少しもまったく嬉しくない」
レナ「なんか言った?」
リッド「いや、なにも」
 リッドはレナに見えないところて溜息を漏らした。

レナ「よし、じゃ、言ってくるね」
 レナはそう言って歩き始めた。
 すると・・・・・・
 ピロロロピーピーピピーピーピピピ・・・・・・・
 いきなりレナの携帯から着信を知らせる着メロが流れた。
リッド「(早っ!しかも悪趣味な着メロだし)」
 心の中でレナにツッコミながらも、リッドは着実に携帯を使っている奴を覚えた。
リッド「レナ、メールにはなんて書いてあった?」
レナ「う〜んとね、『レナさん。あなたという美しい人にはやっぱりライバルがいるんですね。あなたのことを付け回している茶髪の少年がいるようですね。大丈夫ですか?いつでもあなたのピンチには駆けつけます。』だって」
 リッドは頭を抱えて悩んでいた。
レナ「どうしたの?」
リッド「この茶髪の少年って、俺のことだよな?」
レナ「多分、そうじゃない?」
リッド「ううう、こんな奴にストーキングしてると思われてる。こんな従姉ストーキングするならハメットをストーキングした方がマシだ」
レナ「なんですって!レナパーンチ!」
 ガンッ! ドカッ! ドシャッ!
 レナの方も、それではハメットに失礼なのだろうが、ハメットと比較された怨みは凄かった。
 リッドは裏路地をバウンドして、ようやく止まった。
リッド「ううう、こんなんばっか・・・・・・・」
レナ「そうだ!こんな事してる場合じゃなかった!」
 レナはそう言うなり、リッドの襟首を掴んで無理矢理立たせた。
レナ「早く!携帯使った人覚えているんでしょ?」
リッド「いることはいたけど、みんな通話だったんだよ!」
 リッドはレナの手を振り払って言った。
レナ「えっ!?じゃ、ストーカーはどうやって私達のことを見ていた訳?」
リッド「知るか!俺もう帰る!」
 リッドは吐き捨てるようにそう言うと、歩いて行った。
レナ「ちょっと待ってよ、まだ方法はあるんでしょ?お願いだから助けてよう」
リッド「人のことおもいっきり殴っておいてよく言うぜ!」
レナ「あれは、その・・・・・・ゴメン」
 まさかここで謝られるとは思わず、リッドは戸惑った。
レナ「お願いだから・・・・・」
 そのレナの目から一筋流れる涙が見えた。
リッド「わ、わかった!手伝うから泣くな!」
 リッドは泣いているレナをなだめる為にそう言ったのだが・・・・・・
レナ「(やっぱ女の一番の武器は涙よね)」
 そこにはリッドに見えないようにニヤリと笑っているレナがいた。

リッド「これだけはやりたくなかったんだけどな」
レナ「どんな作戦?」
リッド「ちょっと来い」
 リッドはレナの手を引いてある場所に向かった。
 その場所とは・・・・・・
レナ「え・・・・ええっ!?」
 ラブホテルだった。
レナ「ちょっ、ちょっとリッド!?」
リッド「おい、二人分な」
 リッドは店員に言うと、鍵を預かって嫌がるレナを無理矢理部屋に入れた。
 それからすぐ後に・・・・・・
?「すいません。今来た客の部屋番は?」
 何者かがリッドとレナの入った部屋番を確認する人影があった。
 その人影は、聞いた部屋番の扉をピッキングで開けた。
 バァンと凄い音と共に扉が開かれるが、中には誰もいなかった。
 人影はキョロキョロ周りを見回していると・・・・・・
リッド「はい、いっちょ上がり♪」
レナ「この人がストーカー?」
 後ろからリッドが人影を捕まえる。
 その正体は・・・・・・
リッド「お前にこんな趣味があったなんてな。アレフ」
アレフ「い、いや、そういうわけじゃないんだ」
 人影の正体はアレフだった。
レナ「なんでこんなことしたんですかぁ?」
 怒りの顔でレナがアレフに尋ねた。
リッド「大方、レナにいつも脅されているから、レナの弱点でも掴んで仕返ししてやろうとでもしてたんだろ?」
アレフ「うっ、読まれてる」
レナ「それにしても酷いですよ。嫌がらせメール送って来たり」
アレフ「嫌がらせメール?何の事だ?」
レナ「へ!?だってほら、これ送ったのアレフ先輩でしょ?」
 レナはアレフにメールを見せる。
アレフ「いや、俺はこのカメラ持って張ってただけだ。俺じゃないよ」
レナ「じゃ誰だって・・・・」
リッド「おい!そこにいる奴出て来い!」
 リッドが叫ぶと、何者かが逃げ出した。
アレフ「あいつは、警備員のクランク!」
リッド「そういうことか、あいつは保健室の俺達の会話を聞いていて、作戦を聞いていたのなら、通話のフリをしてメールを送ることもできるって訳か」
レナ「それより、ここに入ったことが作戦とはいえバレたらまずいよ」
アレフ「ゲッ!そいつはマズイ!」
リッド「とっ捕まえてギタギタにして証拠消してコンクリ漬けにして第一埠頭に沈めてやる!」
 リッドはそう言うなりダッシュで追いかけて行った。
アレフ「なんか、凄い気迫だったけど、そんなにやばいのか?」
レナ「さ、さぁ?(私にストーカーしたと思われているのが、そんなにムカツクのかな?)」
 二人もその後を追いかけ行った。

リッド「オラ!神妙にして縛に就けや!」
 ドカッ!
クランク「くっ!」
 人気のない裏通りで、リッドはクランクに飛び蹴りをくらわせて、無理矢理止めた。
アレフ「はあ はあ 捕まえたか」
レナ「はあ はあ 二人共早いよ」
 後から二人が遅れて辿り着いた。
リッド「いいか!?俺はこんな人を平気で脅すわ人をすぐ頼りにするわ俺に被害与えるわのじゃじゃ馬従姉をストーキングなんて天に、いや、マリアに賭けても絶対、ぜぇっったいにす るわけねぇ・・・・・・」
 ぐしゃっ! メキィッ!
 レナキックによって、リッドはビルの壁にめり込んだ。
アレフ「うわ、生きてるかぁ?」
レナ「さて、うるさくて失礼な従弟も黙ったことだし、このことは誰にも話さないこと、そしてカメラ、ビデオなんかも没収。
 あと、もう私につきまとわらないでくださいね」
クランク「レナさんの言うことだったらなんでも聞きます」
 クランクはそう言うと、持っていた物を全部出した。
クランク「あと・・・・・あの、サインください」
レナ「へっ?サイン?私のでいいの?」
 レナは恥ずかしがりながらも、しっかりと『レナ・ルーベック』とサインしていた。
クランク「ありがとうございます。宝物にしますー!」
 クランクはそう言うと、サインを大事そうに抱えて何処かへ走って行った。
レナ「さて、ストーカー事件も解決したことだし。リッドのおごりで何か食べましょうか?」
リッド「あ゛?なんで俺が!?」
 やっとめり込んだ体を抜いたと思ったら、そんなことを言われてリッドは素っ頓狂な声を上げた。
レナ「私に失礼なことを言った罰。アレフ先輩もどうです?」
アレフ「もちろん、お供させてもらいます」
リッド「アレフまでぇ〜・・・・・・」
 リッドはガックリと肩を落とした。
レナ「ほら、早く来なさいよリッド!」
アレフ「ほら、呼んでるぜ。お前の自慢の従姉がな」
リッド「後で覚えてろよアレフ」
 リッドはアレフを睨みながら言ったが、内心ではアレフと同意見だった。
リッド「(まっ、俺が信用できるたった一人の親戚だからな)」
 リッドは先に歩いている二人に追いつくために、早足で二人を追いかけた。

終わり

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