The りべんじ おぶ ライトニアンず


 <ぷろろ〜ぐ>
 ここは宇宙の片隅にある、小さな惑星。そこにひっそりとたたずむは、悠久なる刻を経てなお変わらぬ姿を見せつける建物が一つ。
 その名は、幻想宝石──
「あのー」
 …なんですか?ガーネットさん。今、大事な書き出し部分なんですけど。
「いえ。今、作者さんって人からこんな手紙を渡されまして。ナレーションのあなたに読んで欲しいとのことです」
 どれですか?
「これです。どうぞ」
 ふむふむ…読みますね?
『これはフィクションです。実在する人物とは関係有りそうだけど微妙に──どころか、キャラによっては大幅に──違う場合も有ります。
 なお、この文章を読んで生まれた疑問点に関しては当方では受け付けておりませんのでご了承下さい。
 最後に。本品は生き物ですので賞味期限に関係なく、開封後は早めにお召し上がり下さい』
 ですか。相変わらず頭の中が壊れているようですね。
「ええ、微笑ましいですね」
 本当に。
 ……それでは、本編に入りましょうか。ガーネットさん、合図を。
「はい。…中継2カメの安藤さん、どーぞー」
 …安藤さんて、誰?



 <ほんぺん?>
 幻想宝石館の玄関前に、1人の人物が立っている。
 褐色の肌にとがった耳、そして長くたなびく水色の髪の上には申し訳程度に帽子が乗っかっている。
 中々の美形の彼は、ダークエルフという種族のようだ。
 彼はおもむろに右手を上げ、扉のノッカーを数度鳴らした。
「……はーい」
 暫く待つと、静かに扉が開いてオレンジ色の髪をした少年(シトラ)が出てきた。
 男は営業の笑みを浮かべ、シトラに用件を告げる。
「どもー。星間運送業者『トヤマ白蛇』のものです。ガーネットさん宛てに荷物を運んで来たんすけど、場所は合ってますかね?」
「あ、はい。それじゃ、僕がガーネット姉さんに持っていきます」
「ほな、ここにサインかハンコお願いします。…はい、それじゃ、失礼しましたー」
「ご苦労様です」
 丁寧に応対するシトラに軽く礼をして荷物を渡し、男は去っていった。
 …どうやら、男は本気でただの運送業者だったようだ。

 シトラが男から受け取った荷物(彼にも抱えられる大きさなのに、結構な重量が有る)を持ってガーネットの部屋を目指していると、一つの部屋から誰かが出てきた。
「あ。アレック兄さん」
「ん?…シトラインか。何だその荷物は?」
 その明るい緑髪の少年は、アレキサンド。容姿端麗、博学博識の人物だ。
 アレックが多少怪訝そうに荷物を眺め、シトラはずり落ちそうになったその箱を抱え直しながら返した。
「これ、さっき郵便局のお兄さんが届けてくれたんだ。ガーネット姉さん宛ての荷物だよ」
「へぇ。ガーネット姉さん宛て、か」
 それだけ言って、アレックはその場で回れ右をした。
「あ、ねえアレック兄さん」
 そのまま去っていこうとしたアレックだったが、シトラに呼ばれて首だけ彼に向ける。
「荷物が重いから手伝ってくれ、か?あいにくと俺は忙しくてな。それに俺は頭脳労働担当だ」
 それだけ告げると、アレックは廊下の角を曲がって見えなくなってしまった。
「…もう、アレック兄さんって時々分からないところがあるからな」
 シトラが独り言のつもりで言った言葉だったのだが、
「あ、それはあるな。ウチも時々分からん事あるし」
「うわぁっ!」
 いきなり真後ろから聞こえてきた声に、シトラは慌ててそちらを向いた。そこには、薄い色の髪に灰色の瞳という神秘的な外見とはかけ離れた性格の人物が立っていた。
「はろ〜、シトラ。元気してた?」
 彼女は片手を軽く挙げてそう聞いてきた。
「…同じ屋敷内にいるのに『元気してた?』は無いでしょう、オパール姉さん」
「なんや、つれないなぁ〜」
 溜め息なじりで返したシトラの反応が気に入らなかったのか、オパールは少し顔をしかめてみせた。
 だが、すぐに機嫌を直したようで笑顔で問い返す。
「ま、そんなことはどうでもええわ。その荷物、一姉のとこに運ぶんやろ?手伝ったるわ」
「あ、ありがと」
 オパールの申し出を素直に受け、シトラは箱の右側に重心を移した。
「…お。結構な重さやないの、これ」
「うん。だけど、今朝からトパーズ居ないし、居たとしても危なっかしくて持たせられないし」
「ま、仲良き事は美しきかな、とね〜」
 そんな調子で、オパールとシトラは荷物をガーネットの元に送って行った。


 一方その頃、場所は厨房。
 黒髪の青年(サードニクス)と、こちらも黒髪…ではなく濃い紫の髪の女性(瑠璃)が料理をしている。
「サイ殿、この味付けはちと濃いのではないのか?」
「そうですかね?オレの地元(?)ではこれくらいですけど。お口に合いませんでしたか?瑠璃様」
「いや、合わぬわけではないが…」
 サードニクス(サイ)と一緒に料理当番に当たった瑠璃だったが、スープの味付けで問題があるようだ。
「うーん、オレとしては、これ以上薄くするのはどうかと思うんですけど…」
 瑠璃に続いて一口試してみて、サイは困ったように言った。
「やっぱり、味噌汁は赤味噌が味の決め手ですからね」
 いや、味噌汁かい。…確かに、サイは和風好きとなってはいるが…。
「まあ、それほど濃いと言う訳でも無いので良いじゃろう」
「ありがとうございます」
 しぶしぶ了承した瑠璃に笑みを向けて、サイが鍋の火を弱くした。
「さて、ある程度は整いましたね。瑠璃様、残りの用意をお願いします。オレは他の皆さんを誘ってきますから」
「む。心得た。後は任せて行くが良い」
 厨房から出ようとしたサイだったが、『あ、そうそう』と言って振りかえった。
「…勝手に薄くしたりするのは、無しですからね?」
「うぐっ…、わ、分かっておる。サイ殿の味付けは確かに美味じゃからな」
 鍋に水を足すために器量カップに手を伸ばそうとしていた瑠璃は、そのままの格好で苦笑を返した。
「あははは。…それじゃ、行って来ます」
「うむ。ガーネトには伝えずとも良いぞ?」
「そんなわけには行きませんってば」
 そんな会話の後、サイは厨房を後にして瑠璃は食事の用意を続けていた。


 その頃、一つの部屋にて。
 ダークグリーンの巻き毛気味の女性と、一見普通そうに見える紫の髪の青年がチェス板をはさんで対峙していた。
 青年(アメジスト)は真剣な表情で、女性(エメラルド)は判断しづらい表情で板を眺めている。
「…」
 アメジストが迷った挙げ句に一手進めるが、直後エメラルドが動いた。
「チェックメイト、ですわ。兄君」
「う…」
 一瞬硬直したアメジストだったが、すぐに苦笑を浮かべて顔を上げた。
「いやー。やっぱりチェスではエルに勝てないかな」
「ふふふ……これで通算9連勝ですわね?」
 爽やかな笑みとどこか陰のある笑みを向け合いながら、手際よくチェス板にコマを配置する。
「兄君、先ほどの約束…お忘れにはなっておりませんわよね?」
「あ、あー…うん。悲しい事に鮮明に覚えてる」
 エメラルドがアメジストにチェス勝負を申し込む時、『10連敗以上した方が相手のお願いを一つ聞く』という条件をつけていた。
 つまり、あと一回負ければエメラルドの『お願い』を聞かねばならなくなってしまうわけである。
(エルの『お願い』か…。人身御供とか、生贄とかを平気で言いそうだから怖いんだよな)
 そんな事を考えながらも、なれた手つきでチェスを進める二人。
 ふと、アメジストが声をあげた。
「…エル。君に前から聞きたかったことがあるんだけど」
「何ですの?答えられる範囲でお答えいたしますわ」
 こちらもテキパキとコマを動かしながらのエメラルドに、アメジストが口を開いた。
「君の、俺に対する呼称なんだけど。『兄君』は『あにくん』なのかい?『あにぎみ』なのかい?」
 アメジストのどうでも良いような問いかけに一瞬考え込んだエメラルドだったが、軽い微笑で返した。
「さあ、どうでしょう。…私にとって兄君は兄君なのですから、それで良いではないですか」
「まあ、それはそうなんだけ、ど…」
 言葉の途中で、アメジストの動きが止まった。
 それに対し、エメラルドは微笑みを浮かべたままで言った。
「チェックメイト。兄君の負けですわ」


 アメジストが死を覚悟した(オイ!)時。
 書物保管所では数人の少年少女が集まっていた。
 赤髪の少年(ルビー)が本を読み、それを向い合って座った草色の髪の少女(トパーズ)、金髪の少女(ダイア)、青髪の少女(サフ)の三者が聞いている。
「…というお話でした。めでたしめでたし」
 一つのお話を読み終えたルビーが本を閉じてみんなの顔を見るが、他の3人は驚いたような表情でボーっとしている。
「? みんなどうしたの?」
 改めて聞くルビーに、サフが最初に我に返った。
「すごいの〜。ルーちゃんおほんをよむのがじょうず〜」
「うんうん。登場人物の感情とか、声で伝わってくるもん」
「…凄かったよ?」
 サフに釣られるようにして感想を言った3人に、ルビーは多少照れながら左手で頭を書いた。
「えへへ。そう真っ直ぐ誉められると、なんか照れるよ。でも、ありがとう」
「特に、ヒロインの悲劇さとかが良く伝わってきたかな?」
「…(コクン)」
 トパーズの言葉にダイアが頷いて、サフがそれに続ける。
「さすが、つうじょうせかいでいちばんくろうしてるだけあるね♪」
「は、ははははは…」
(僕が苦労してるのは誰の所為だと思ってるの?)
 ルビーの心の声が届くはずも無く、サフはルビーのひきつった笑みを見て首をかしげている。
 そんなルビーに気付く様子も見せず、ダイアが言葉を継げる。
「ダイア、次は『しらたきひめ』がいい」
「…は?シラタキ?」
 つい素っ頓狂な声をあげてしまったルビーに、ダイアがあせって返した。
「ち、ちがうの……『白雪姫』………」
「私も読んで欲しいな〜」
 ダイアにトパーズも賛成し、サフも大きくうなずいた。
「サフも、サフもー!」
「分かった分かった、白雪姫だね?それじゃ…」



 そんなこんなで、やっと食事の時間がやって来た。
 食堂に集まったみんなに、上座に座ったガーネットが告げる。
「今日、只今旅行中の創設者さんから小包が届きました」
「あの郵便、創設者からだったのか…」
「ねーねーガーネットおねえちゃん、なかみはなんだったの?」
 アレックが今朝の事を思い出してつぶやいた向かい側の席で、サフが勢い良く手を上げて聞いた。
「大半が、色々な所で撮った写真ね。アルバム3冊分くらいになっていたわ」
「あら…大半は、と言う事は残りは何でしたの?姉君」
「それはね…」
 エルの問いにガーネットは1度席の後ろに手を回し…
「これよ!」
 黒い、直方体の金属製品のようである。それを見て、サイが声を上げた。
「あ、もしかしてそれって『家庭用カラオケ機』じゃないんですか?」
「そう。サイさんの大正解。これがあれば家でカラオケができるんですって」
「それじゃあ、食後はカラオケ大会でも開くかい?」
「さんせー!」「ふむ。わらわも依存は無いぞえ」
 アメジストの声にそれぞれが賛成を示す中、ガーネットが数回手を叩いた。
「さあ、先にご飯にしましょう。今日はラピとサイさんが作ってくれたんですしね」
「…じゃから、ラピはやめい、と言うとろうが」
 ガーネットの言葉に突っ込む瑠璃を当然の如く無視してガーネットが手を合わし、他のメンバーもそれに倣う。
「頂きます」
『いただきまーす』「…ます」
 それぞれが「頂きます」を終え、その日の夕食が幕を開けた…



 <えぴろ〜ぐ。あとがきとも言う>
作者:はい、どーもこんにちは。作者のデジデジ改め飼い猫です。
男:郵便配達のエキストラや。今回もここまで付き合ってくれてありがとうな。
作者:さて、今回は渚姫峰さん復活祝いという事で。
???:おい…
作者:前回に続いてライトニア家の人々の一場面を作らせていただいたわけですが…。
???:おーい。
作者:キャラクターに違和感はありませんでしたでしょうか。
???:おいったら!
男:なんやさっきから…お、アンタは今回出番が無かったアクアやないか。
アクア:それだ!どうして俺が姉さんと一緒に出れないんだよ!
作者:…突っ込みたい所はそこかい。
アクア:そこ以外に何所がある?
男&作者:……(重度のシスコンめ…)
アクア:まあ、この際それは置いておくとして。結局、何がリベンジなわけ?
作者:あ、それは。前回私が書いたときにキャラクターを壊し過ぎたので今回で再度挑戦してみようと思いまして。
男:あ、それで『りべんじ』やったんか。
アクア:それともう一つ。なんでカラオケなんだ?
作者:そこはほれ、今私が行きたいけど行けないから、せめて小説の中だけでも…とか。
 後は、色々なキャラクターがいますから特色ある歌を歌ったら楽しいかな、と。
男:で、それは決めとったんか?
作者:歌う歌ですね?ええ、途中までは決めてたんですけど、数人誰も知らないようなバンドの歌が出てきたためにオジャンになっちゃいました。
アクア:相変わらず、中途半端だなぁ。
作者:う…(汗)
男:思いっきり、りべんじになっとらんな。
作者:うぅっ……(滝汗)

男:ま、コイツいじめててもしゃーないしな。そろそろしめるか。
アクア:そうだな。
 皆様、ここまでお付き合いいただき真にありがとうございます。
男:これからもヘンな奴ではありますが、どうかよろしくお願い致します。
二人で:それでは、さようなら〜。

作者:次回こそは、必ず!
男:次回って、いつやねん…。

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