<とある日のライトニア家>

ここは、宇宙の片隅にひっそりとたたずむ大きなお屋敷。
そこには、とっても個性的な12人の兄弟たちが暮らしています。
彼らの名前は、『ライトニア兄弟』。
今日も今日とて、お客様(マスターの方々)のお出迎えの準備に大忙しです。

「アクア、居るか?」
 アトリエの扉を開けて入ってきた青年は、中に居るはずの人物に声をかけました。
「…なんだよ、兄貴。創立者ならここには来てないぞ」
 アトリエの奥の方から歩いてきた青年(どうやら、始めの人物よりは年下のようです)が、面倒そうに返答しました。
 扉に立っている青年は、アメジスト。ライトニア兄弟の長男です。
 そしてアトリエのおくから出てきたのが、次男のアクアマリン。皆にはアクアと呼ばれています。
「いや、違うんだ。ちょっと晩御飯の買い出しを…」
「めんどい」
 言葉を最後まで聞くことなくそう返し、アクアは椅子に腰掛けました。
「昨日も俺が行って来たじゃないか。たまには兄貴が行けば良いだろ?」
「いや、俺だってみんなからの手紙や投稿作品を管理しないといけないし…あまり時間がないんだよ」
(個性あり過ぎの兄弟の面倒を見ないといけないしね…)
 そう内心で付け加えたアメジストは苦笑を浮かべましたが、すぐに何かを思いついたように顔を笑顔にしました。
「この買い出し、ガーネットから伝言だよ?」
「分かった。メモは何処?さっさと渡して」
 先ほどとは打って変わってきびきびとした動作でこちらに来たアクアは、アメジストの差し出した紙切れを引っつかんで部屋を飛び出していきました。
「…相変わらず、分かりやすい性格だな、アクア」
 少々呆れ顔になったアメジストですが、とりあえず自分の部屋に戻ることにしたようです。


 ふと、数個隣の部屋を通りかかったアメジストは、その扉に張り付いている少女を見つけました。
 薄黄色の髪をした少女、ライトニア兄弟の四女、オパールです。
「何してるんだいオパール?」
「うひゃっ!」
 アメジストが声をかけると、オパールは大げさにとびあがってからこちらに向き直りました。
「何やアメジストかいな。驚かせんとってぇな」
 大きく胸をなでおろし、逃げ腰になっていた姿勢を正すオパール。彼女は、今まで張りついていた扉を指差してこう言いました。
「今朝からエル姉部屋に閉じこもりっきりやろ?せやから心配んなったんで見にきてんけど…」
「だったら、普通に声をかければ良いじゃないか?」
 もっともな意見を言うアメジストですが、オパールは顔をしかめて見せます。
「せやけどな、扉叩こうとしたら…」
 彼女が扉に手を近づけていくと…
 (ぐぇっ、ぎょ、ぐぇっ、ぎょ)
 その扉の向こうから、何かの鳴き声が聞こえました。
「…な?不気味やろ?さっきからずっとこんな調子で…鍵穴から中見れへんかと思うて張りついとってん」
 その音は、まさしく何か人外の生物のかもし出す奇妙な音でした。
「なあアメジスト、これは確かめなあかんと思わへん?」
「そうだな…ん?」
 真剣な表情になっていたアメジストは、オパールのしようとしている事を理解できずに問い返しました。
「えっと…何をしてるんだ?オパール」
「いややな。そんなの、あたしが開けたくないからアメジストに開けてもらおう思うてるだけやん」
「俺も嫌だよこんな不気味な扉!」
 ついついアメジストがそう叫んだとき。何の音も立てずに扉が開きました。そして、
「嫌ですわ、お兄様もオパールも、人のことを人外の生物扱いして」
「わっ!」「ひゃっ!」
 いきなり目の前に現れた人物に、二人同時に飛び上がってしまいました。
「ただ、外に居たお友達と歴史書の整理をしていただけですよ…フフフ……」
 全身から不気味な雰囲気を惜しみなく放出しているこの人物が、エルことエメラルド。ライトニア兄弟の次女です。
「友達って…誰か一緒におるん?」
 数歩腰が引けたままのオパールが訪ねましたが、
「あら?オパールはあの子に会いたいの?紹介しても良いけど、食べられるかも知れないわね?…フフフ……」
『・・・・・・・・・』
 エルの言葉に、アメジストとオパールは完全に凍りついてしまったようです。



 その頃、キッチンでは。
「アレック、サラダの用意は出来たかしら?」
「ああ、もうちょっと」
 料理をしている男女の姿がありました。
 彼女はガーネット・ライトニア。ライトニア兄弟の長女で、自称才色兼備の女性です。ですが、あくまで自称は自称。実際には…
「姉さん、何で壁に包丁付きつけてんの?」
「んーん。何でも無いの。ちょっと誰かが余計なことを言っている気がしてね」
 ガーネット…ガーネットさんは壁から柄まで刺さった包丁を抜き取り、水で洗ってから流しの下にしまいました。
「姉さん、サラダボール冷蔵庫に入れておくよ」
「ん。ありがと」
 ガーネットさんと一緒に居るこの人は、アレキサンド。ライトニア兄弟の三男で、男兄弟の中では一番整った顔立ちをしていて、知識量も相当なものを持っている青年です。通称はアレック。
「さて、後は…」
 一時流し台からガーネットさんが離れた時、一人の人物がキッチンに入ってきました。
「ガーネットよ。アクアから荷物を預かって来てやったぞ」
 その人はこの星では少し珍しい和服を着込んだ女性で、年はガーネットさんと同じくらいでしょうか。
「あ、ラピありがと」
「ラピと呼ぶでない!わらわは洸玉瑠璃じゃ!」
 ラピと呼ばれた和服の女性は訂正を求めましたが、
「さて、材料の方は…ん。アクアもちゃんと持ってきてくれてるわね」
 ガーネットさんは聞いてもいない様です。
「くっ…さすがはわらわのライバルじゃ。やりおるわ」
 何だか分からないことでうめいているこの人は、洸玉瑠璃。ライトニア家の従姉妹に当たる存在で、ガーネットさんのことをライバル視している人です。
「そう言えば、アクア兄さんはどうした?」
 思い出したように聞くアレックに目を向け、ラピは軽く肩をすくめてみせました。
「あやつならば、館に帰ってきたところでシトラとトパーズにつかまっておるわ」
「なるほど。アクア兄さんらしいな」
 苦笑、と言うよりも冷笑を浮かべたアレックは、調理を再開したガーネットの横に行ってサポートを始めました。



 場所は移って、ここは館の一角にある書物庫。1人の少年が裁縫を行っていて、それを年齢の判断しづらい少女が眺めています。
「ルビーは手先が器用でいいね…羨ましいな」
「そうかな?そんなことも無いと思うけど」
 少女はダイヤモンド。ライトニア兄弟の三女で、年齢よりも幼く見える外見と引っ込み思案な性格を気にしているようです。
 裁縫をしている少年は、ルビー。ライトニア兄弟の五男で、周囲から『一番手のかからない子供』とも言われるほどの少年です。
「…このアップリケ、サファイアのだよね?」
「うん。服に縫い付けて欲しいって頼まれたから静かに作業できる場所を探してたんだ」
 と言うことは、この館で一番平穏な場所がこの書物庫ということになるのでしょうか。あるいは単にルビーにとって一番落ち着ける場所なのかもしれませんが。
「…いいなぁ。ダイヤも何かつけて欲しいな」
「あ、じゃあこれなんてどう?この前ガーネットお姉ちゃんもらったんだけど、僕には可愛すぎるから」
 そう言ってルビーが差し出したのは、小さな花を模したアップリケです。
「…わぁ、可愛い」
 アップリケを受け取ったダイヤは、心底嬉しそうに微笑んでいます。
「今度、カバンとかに縫い付けるから持ってきてね」
「…うん、ありがとうルビー」
 そんな会話を交わしていると、書物庫の扉を開いてガーネットさんが入ってきました。
「あら、やっぱりここに居たのね二人とも。もうすぐご飯が出来るから早くいらっしゃい」
「はーい」「…(コクン)」
 ガーネットさんに引率される形で、3人は書物庫を後にしました。

こうして、幻想宝石館での一日が終わりを迎えようとしています。
この日も一日、楽しい空間でした。


<あとがきに代えて>

デジデジ:渚姫峰さんごめんなさい。
ガーネット:ど、どうして謝ってるんですか?
デジデジ:だって…せっかくのHP開設お祝いなのに、自己紹介だけでまともに知らない人たちで勝手に作っちゃいましたもん。多分、違うキャラになっちゃってた人も多数居るでしょうから。
アメジスト:それにしても、またどうして俺たちでお祝いSSを書こうと思ったんです?
デジデジ:いや…せっかくですから、あのHPを覗きに来られる人たち全員に解る人を題材にしてみたかったんです。
ガーネット:で、私たちに白羽の矢が立てられたわけね。シトラとトパーズとサファイアが寂しがってたわよ?出番が名前だけだって。
デジデジ:う…ごめんなさいガーネットさん。
ガーネット:私に謝られても…って、どうして作品中でも私にさん付けなの?
デジデジ:何言ってるんですか。説明しようとしたら目の前に刃物付きつけてからに。もうちょっとで刺さるところだったんですよ?
ガーネット:あれ?そうだったかしら?覚えてないわね。
デジデジ:ま、それはそれで良いんですけどね。
アメジスト:さて、そろそろ終わりにしましょうか。デジデジさん、閉めちゃってください。
デジデジ:あ、はい。
 渚姫峰さん、HP開設のお祝いに暴走した文章しか書けなかったことが心苦しいですが、どうかこれからもよろしくお願いします。
 それでは、
3人で:さようなら〜

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