<ボクからのプレゼント>

 ボクは、迷っていた。来週に迫ったあにぃのお誕生日に、どっちを贈るほうが喜んでもらえるか…。
 目の前のショーウィンドウの中に在るのは、白いウクレレ。あにぃがこの前『この形、結構可愛くないか?』って言ってたものだ。
 もう1つは、えーと………そうそう、『外付けMOドライブ』……だったっけ?あにぃが『無いとやっぱ不便なんだよね』って言ってたから。
 どっちにしても、ボクのお小遣いじゃそう簡単に買えるものじゃないから…。
「はぁ…どうしようかなぁ」
 溜め息をつきながら道を歩いていると、
「あ〜! 衛ちゃんデス!!」
「あ、四つ葉ちゃん。おはよー」
 通りの向こうから、四葉ちゃんが走ってきた。
「どうしたデスか? なんだかゲンキないデスよ?」
「え? そ、そんな事無いよ。あははは…」
 ボクの目を覗き込んでいた四葉ちゃんの瞳が、少し細められた…ような気がした。
「はは〜ん。四葉には分かっちゃいましたよ、衛ちゃんの悩みが」
「ええっ!? な、なんで?」
 四葉ちゃんって、ボクの心読めるの!?!?
「イエース!この名探偵四葉さまにかかれば、どんな問題もノープロブレムね!」
 四葉ちゃんは、自信満万にボクに指を突き付けて言った。
「衛ちゃん、お昼はカツサンドで決まりデスよ!」
「・・・・・・・・・・・はい?」

 なんか、すっごく場違いな答えを聞いた気がした。


 四葉ちゃんと別れて、ボクはまた一人で歩いていた。
「どっちにする方がいいかな〜?」
 とりあえず一度家に帰ろうと歩いていると、向かいから鈴凛ちゃんが歩いて来た。
「あ、鈴凛ちゃん」
「……んぁ…? あー衛ちゃ…ふわぁぁぁぁぁ…おはよ」
 これは…
「鈴凛ちゃん、また徹夜明けなの?」
「ん〜…まぁね〜…… もうちょっとで、新しい作品が出来上がるんだけど、最後の一歩が………くー…くー…」
「わぁぁぁっ!? ボクにもたれ掛ったまま寝ちゃダメだよ、鈴凛ちゃん!」
「ん〜……この抱きまくら、動く……」
「ちょ…やだ、抱きつかないでってば〜!?」
 鈴凛ちゃん…(汗)
 どうしよう。完全に寝ぼけてるよ〜。
 でも、このまま放っていくのなんて出来ないし……
「あら。そこに居られるのは衛ちゃんに鈴凛ちゃんですか?」
「あっ!? 春歌ちゃんに可憐ちゃん!」
「おはよう、衛ちゃん。鈴凛ちゃんは…寝ちゃってるの?」
 春歌ちゃんと可憐ちゃんだ〜。良かった、知ってる人が来てくれて。
「鈴凛ちゃんが抱きついてるみたいですが…何があったのですか?」
「も、もしかして鈴凛ちゃんと衛ちゃんは……きゃっvv」
 ちょ…可憐ちゃん?目が、キラキラしていますけど…(汗)
「ね、ねえ。鈴凛ちゃんを起こしてくれないかな?でないと、ボクここから動けないんだけど」
 出来るだけ可憐ちゃんを視界に入れない様にしながら、春歌ちゃんに頼んでみたりするボク。
「鈴凛ちゃんを引き剥がせばよろしいのですね?」
「うん。ボク、今からお家に帰らなきゃならないから早く動きたいんだ」
「分かりましたわ。それでは、少々手荒ではありますが…」
 そう言って春歌ちゃんが取り出したのは薙刀…って!!
「そ、それで何するの!?春歌ちゃん!!」
「大丈夫ですわ。痛くはありませんから♪ えいっ!」

  ごす

 鈴凛ちゃんの首に薙刀の柄がジャストミート。確かに、鈴凛ちゃんは離れてくれたけど……。

「それでは、わたくしは鈴凛ちゃんと可憐ちゃんをお家まで送り届けて来ますわね」
「あ、う…うん。お願い、春歌ちゃん」
 まだトリップしたままの可憐ちゃんと目を回している鈴凛ちゃんを引きずりながら、笑顔で春歌ちゃんが遠ざかって行く。
 ……春歌ちゃんって、すっごい力持ちなんだね(違)


「それにしても、どうすれば良いのかな〜?」
 何となく、足があにぃの家の方に向かってた。それで、気付いた時にはあにぃの家の前まで来ちゃったんだけど…。
「あにぃに、直接聞くわけにも行かないし…」
 うーん…
「やあ、衛くん」
「うわあっ!?」
 いきなり背中からかけられた声に振り返ると、そこに立っていたのは…
「な、なぁんだ〜千影ちゃんか。ビックリしたよ、ホントに」
「ふふっ。……そう驚くものでも………無いと思うんだけどね」
 だ、だって…さっきまで誰も居ないって思ってたとこに立ってたんだよ?
「普通、驚くと思うけど」
「そうかい?…………ふむ…………そうか、なるほど………衛くん」
「な、何?」
 千影ちゃんが、独特の笑顔でボクを見据えてる。
「兄くんの誕生日祝いの品だけどね」
「えっ!?」
 な、なんで考えてる事が分かったの!?
「ふふ……簡単な事さ……ほら、そこに居る浮遊霊が教えてくれたんだよ」
 ふゆ…っ!!!!
「まあ………きみには、見えないだろうけど……ね。…ふふふ……」
 こういう表情を、悪魔の微笑みって言うのかな……恐いよ〜。
「それはともかく……贈る物が高い物であれば良いってものでもないと、私は思うよ」
「そう、かな?」
 ボクの疑問に、千影ちゃんは少し自信ありげに頷いて返してくれた。
「そう。特に…兄くんのような人の場合……高い物は反対に嫌がるだろうね」
 うーん、そう…なの、かなぁ?
「兄くんに喜んでもらいたいのなら………値段でなく、気持ちのこもった物にすべきだと……思うよ」
 うん。それはそうかも知れない。
「じゃあ、例えばどんな物が良いのかな?ボク、編み物とか苦手だから、お手製のものなんて作れないし」
「なに………衛くんにしか出来ない物で………心のこもった物、あるじゃないか」
 そう言って、千影ちゃんがボクに耳打ちしてくれた。




  ──2週間ほど経って──

「さて、今日もメールをチェック…」
(ぴんぽーん)
 しようとしたら、誰か訪ねてきたみたいだな。誰だろう?
「はーい、どなたですか?」
 扉を開けると、そこには衛が立っていた。
「は、はーい。あにぃ」
「やあ、衛。こんなに夜遅くに何の用事かな?」
「え、えっと…とりあえず、入るね?」
 衛は、何だかちょっと焦った様子で家の扉を閉めた。
「あ、あのね。明日、あにぃの誕生日だよね?」
「あ、覚えててくれたのか?」
「もちろん!あにぃの大事な日を、ボクが忘れるはず無いもん」
 元気に返してくれた衛だけど、また、少しモジモジしだした。
「そ、それでね…プレゼントがあるんだ」
「僕に?ありがとう、衛」
「う、うん…その、ちょっとの間、後ろ向いててくれないかな?」
「うん、分かった」
 僕は言われた通りに、衛に背中を向けて立った。背中から、なにかゴソゴソと音が聞こえるけど…僕に渡すプレゼントを用意してくれているんだろうか?
「あにぃ、良いよ」
 衛の声に、僕は振り返──
「あのね。ボク、あにぃの欲しがってた物を買うお金が無かったんだ。それで、色々と考えたんだ。」
 頬を赤く染めている衛。
「だから…」
 コリーの犬耳(少し垂れ気味)、尻尾付き(左右にパタパタと)。極め付けに腰に巻かれた大きなリボン
「だから、ボクを貰って下さい(////)」
 そこで、意識が途切れた。


 その日、近くの病院に出血多量で一人の少年が担ぎ込まれたらしい。

「ふふ……兄くん、まだまだだね……」

(終)

☆あとがき…の、ようなもの☆
全世界の妹萌えの方々、申し訳ありませんでした。気付けばこんな暴走SSSを書いていた、作者の飼い猫です。
しかし、自分で言うのもなんですが…内容の薄いSSですね。

まあ、何はともあれ……陳謝。
それではっ♪


☆追加☆
ゲームだけした飼い猫の考えた、各妹の年齢をついでに…
高校2年…佐々木さん(ついで)、主人公、たか美(要らない?)
中学3年…春歌(5/16)、咲耶(12/20)
中学2年…鞠絵(4/4)、千影(3/6)、竜崎(こっちもついで)
中学1年…四葉(6/21)、可憐(9/23)、衛(10/18)
小学6年…鈴凛(7/9)、白雪(2/11)
小学5年…花穂(1/7)
小学4年…亞里亞(11/2)
小学3年…雛子(8/15)


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