<移り変わり>

 あたしは、少し前まで闇に…一人になることを怖がっているの。
 だって、そうでしょう?誰でも一人は嫌だから…。
 それに、あたしは最初から一人ぼっちだった。本当なら、あたしはここにいないはずだもん。
 だけど、お父さんやお母さん、それに他の人達のおかげであたしはここにいることが出来たわ。
 今は違うけど、昔は恨んだこともあったよ。だって、あたしを百年後の世界に一人置き去りにしたんだから。目が覚めたとき、誰もいなくて、それでどこかに行こうとして壁に触れたら、壁をすり抜けたわ。
 あのときは驚いたわよ。だって「ぶつかるっ!?」って思ったら痛くなかったんだもん。それで、急に怖くなった。あたしは何もわからなかったんだから。あるのは自分の意思と少しばかりの記憶、それに精神だけの存在となった『私』。
 それで、何にも考えられなくなって、気がついたらセント・ウィンザー教会にいたわ。目の前には神父さんがいて。それで、あたしをここに住まわせてくれるって。
 あのときのあたしは臆病だったのよね。何もわからなかったから。だけど、そんなあたしでも神父さんは優しく接してくれたの。あと、ここでお手伝いをしているセリーヌさんやネーナさんも。
 だけど、あたしは誰にもあまり心を開かなかったわ。ほんと、今のあたしを知ってる人から見たら笑っちゃうわよね。でもね、今だから言えるんだけど、本当はみんなと仲良くしたかったの。だけど、あたしは…簡単に言えば『幽霊』だったから。
 近所で幽霊少女って評判になったとき、あたしは更に人と関わらなくなったの。それが悪かったのね。余計に幽霊っぽい行動だもん。ますますみんなは噂したわ。中には傷つくような酷いものもあったのよ。あたしを何だと思ったのかしら。こんなに可愛い少女なのに。
 もう、どうでもよくなって、あたしは教会の一室に閉じこもっていたわ。
 部屋と窓からしか見えない世界。それがあたしが知る世界だったの。それでもあたしはよかったわ。だってあたしを知っている人なんて誰もいないし、あたしは過去の人間だったから。
 もう、ネガティブな考えだったわね。昔のあたしに会えるなら、こう言いたいわよ。
「あなたはそんな人間じゃない。まわりを見てごらんよ」
 って。ああ、何かもう腹が立ってきたわ。自分に腹を立てても仕方ないけど。
 そんな考えをしてて、無駄に時間を過ごしていたわ。でも、あるときそれが変わったの。あれは、いつだったかな。正確な日はよく思い出せないんだけど、とにかくあたしを変えたきっかけだったの。

 その日もあたしは、いつものようにぼ〜っと窓から外を眺めていたわ。
 何も変わらない、いえ、変化に乏しい風景。それが視界を埋め尽くしていたの。穏やかに流れる時間、暖かく光をくれる太陽、空に面白い芸術を見せてくれる雲。どれも変わらない。
 そして…優しく吹く風。だけど、その風はあたしを通り抜けていくの。優しくあたしを撫でてはくれないの。
 このことが、またあたしを憂鬱にさせる。どんなに爽やかな風でも、あたしのもやもやとしたものを吹き流してはくれなかったわ。ほんと、神様も不公平だよね。みんな風を感じることはできるのに、あたしは風を見ることでしか感じられないんだから。
 悲しくなったけど、涙は流れなかったわ。こんなことで泣けなくなっていたから。いつからだろ?
 そんな疑問を頭の中で解いていても、結局答えは出なくて、また気分は重たくなるわ。それに従って、視線も下がって、ふと子供達が目についたの。いつものように楽しそうに遊んでいると思ったら、あの日は違ったの。
「ん…?」
 運命だと思うわ。子供達に混じって一人の青年が一緒に遊んでいたの。その人と、一瞬だけ目が合ったのよ。あたしは慌てて部屋に隠れたわ。
 だけど、もしあの時目が合わなかったら、どうなっていたんだろ?気になるけど、もうわかんないことだよね。それに、目が合ったほうが絶対良いに決まってる。これは確信してるわ。
 気持ちも落ち着いて、そろ〜っと窓から隠れるように見ると、もう青年の姿はなかったの。遊んでいるのは子供達だけ。ちょっと残念。だって、少しあたしのタイプだったし。
 またため息を落として、窓から景色を眺めていると、少ししてからこっちにどんどん足音が近づいてくるのが聞こえたの。ここまで来るのは大体決まってるから、きっと神父さんだと思ったの。もしかしたらって思っていたら、予想は当たっちゃった。足音はあたしの部屋の前で止まったわ。コンコン、と礼儀正しくノックしたから、神父さんだと確信したの。
「開いてるよ」
 ってドアのほうも見ずに答えたの。それからドアの開く音が聞こえて、ゆっくりと振り返って私は驚いたわ。ほんと、教会に来てから一番驚いたんじゃないのかな?
 ドアから部屋に入ってきたのは、神父さんじゃなくてさっきの青年だったの。驚いたときに声が出せないって、本当だったのよ。あたし、声が出せなかったんだもん。きっと変な顔だったんでしょうね。こっちを見る青年の顔がちょっと困ったようだったもん。
「えっと………君が、有名な幽霊少女?」
「え?」
 ああ、そうだったんだわ。この人もあたしが珍しいから気になって見にきた人と同じだったんだわ。失望と、悲しみが一度にあたしの心に来た。慣れたはずなのに、耐えられるはずのことなのに…。
「何だ。違ったの?ゴメンね。そうだよな、君みたいな可愛い子が幽霊の…」
 不意に届いた青年の言葉に、心の痛みは何処へ行ったの。この人は他の人と違うの?
「ね、君のこと教えてよ。あ、先にこっちから名乗るのが礼儀か。俺の名前は…」
 この人、あたしのことに気づいてないだけなの?それとも、本心なの?あたしは迷ったわ。この人は、あたしを『普通』に見てくれるのかもしれないって。
「よろしくな」
「あ、あたしはローラ…」
 すっとあまりにも自然に手を出したから、つられて手を出したの。握手を交わそうとして、青年があたしの手を握ろうとしたとき、私の手は青年の手をすり抜けたわ。
「あれ?」
 気づかれた。きっとこの人もあたしのことを他の人のように変な噂を立てるのかしら?いや、もう嫌…もうこれ以上傷つくのは嫌なの!
「やっぱり君が『あの』幽霊少女だったんだ」
 この人も同じだったのね。あたしのことを…
「噂なんて当てにならないじゃん」
 はっと顔を見上げたわ。そこには優しそうな青年の顔がこっちを見ていたの。二度目の視線が交わったわ。
「噂じゃここに住んでる幽霊少女はブスで自殺したのが原因だったから、更に醜くなってるとか、人にとりついてとり殺すとか、全然違う…」
 この人、何を言ってるの?あたしがブス?ふざけんじゃないわよ!この可愛いあたしを掴まえてブス?ぜ〜ったい目が腐ってるんだわ。しかも、とり殺す?このか弱いあたしがどうやってとり殺すっていうのよ。
「何よそれっ!!!?」
「うわっ!?」
 いきなり声を張り上げたから、青年のほうもびっくりしたみたい。いい気味だわ。噂とはいえ、あたしのことをブスと考えてたんだから。
「このあたし、レディに向かって失礼じゃないの?」
「あ、ゴメン。でも、噂あったから…」
 あきれた。大抵人ってそういうもんだけど、噂を鵜呑みにしてたわけ?信じられなかったわ。全くもう、あたしはこ〜んなに可愛いんだから、せめて窓際に佇む薄幸の美少女とかさ、他にも色々とあるじゃない。
「もう、真実を知ったんだから、そんな噂もうしないでよね」
「わかったよ。でも、思ったよりも普通なんだね。『幽霊少女』っていうから気になったんだけど」
「だって、あたし幽霊じゃないもん」
「え?」
 そっか。他の人は知らないんだよね。それに、特徴だけ見れば幽霊と間違われても仕方ないけど。でも、あたしは幽霊じゃないってことをこの人に話したの。本当のことを知って欲しかったから。今までの人と少し違うから。
「そうだったのか。でも、ローラって思ったより元気で良かったよ」
「どういうこと?」
「さっき窓からローラの姿が一瞬だけ見えて、寂しそうだったから。それで気になってここまで来たんだ」
「あ、そうだったの…」
 そんなにあたしってば寂しそうにしてたのかな?全然自覚がなかったけど。
「けどここに来て良かったよ。ローラとも出会えたしね」
「ほんと、お兄ちゃん!?」
 言葉が心に染みていくのを感じたの。あたしと出会えて良かったって。ほんと嬉しいことだと思わない。だって今までそういうことがなかったから、余計に。
「ああ。けど、やっぱり…」
「やっぱり?」
 不安があたしの心に大きくなっていく。もし変なことでもいわれたらどうしよう?せっかく、出会えたのに。
「ローラは今みたいに楽しそうにしているほうが可愛いよ。窓から外を覗いているときよりも」
「もう、お兄ちゃんったら」
 あたしは思いっきり笑顔を浮かべたわ。自然に、意識せずに笑顔を浮かべるなんて、最後にしたのはいつかしら?
「あ、そうだ。ローラも一緒に外で遊ばないか?」
「え、ほんと!?あ、でも…」
 あたしは触れることが出来ないから。そのことが枷となってあたしを引き止めるの。もう、何でこんな体なんだろう。ジレンマ。好きなことをする権利は私にはないっていうの?
「大丈夫だって。別にそんなの大した問題じゃないだろ?」
 お兄ちゃんは嘘じゃなくて本心でそう言ってくれたの。あたしの枷をお兄ちゃんは簡単に外してくれた。あたしも、みんなと同じでいいの?みんなと楽しんでもいいの?
 あたしの中で『何か』が変わっていくのが敏感に、確実にわかるの。冬の雪が春の囀りで溶かされるように。冬の眠りが、春の目覚めを待っていたように。
「…うん!」
 お兄ちゃんはきっと気づいてないんだけど、あたしに手を差し伸べたの。差し伸べられた手を、私はしっかりと掴んだわ。手は触れ合うこともなくすり抜けてしまったけど、私は離さなかったの。
 その後、今まで一緒に住んでいて一度も遊ばなかった子供達と、一緒になって遊んだわ。最初は戸惑いもあったけど、すぐになくなったの。これもお兄ちゃんのおかげね。
 ありがとう、お兄ちゃん。

 それから暫くして、色々なことがあって…あ、その『色々なこと』っていうのは説明するのが面倒だから、自分で調べてね。…っていうのも可哀想だから、ちょっとだけ教えてあげる。フェニックス美術館盗難事件をはじめとする色々なことよ。
 それでお兄ちゃんに容疑がかけられて、無実を証明するためにあたしもお手伝いしたの。お兄ちゃんを信じてたから。そして、お兄ちゃんは無実を証明できたの。あの時は嬉しかったわ。そうでしょう、本当のことがわかったんだから。
 あのときのお兄ちゃんったら、目に涙を浮かべたんだよ。あともうちょっとでお兄ちゃんの嬉し泣きを見れたのになあ〜。お兄ちゃんの泣いたとこ、見たことないもん。
 だけど、悲しかったこともあるの…。お兄ちゃんの隣にいたのは、あたしじゃなくて、他の人。お兄ちゃんが好きで、お兄ちゃんが選んだ人…凄く素敵だって思うよ。あたしも。
 でもね、胸が締め付けられるように痛かったんだよ。でも、お兄ちゃんの前じゃ泣けなかったわ。だからね、一人で部屋にいるとき、泣いたの。もしかしたら、セリーヌさんやネーナさん、神父さんに子供達にも聞こえてたのかな?
 あたしの初恋は見事に破れたわ。失恋は実らないって本当ね。でも、お兄ちゃん達が幸せになれることを祈ってるのは虚勢でもなくて、あたしの本心よ。
 それに、あたしを変えてくれたもの。明るく変えてくれた、いえ、本来の性格を取り戻してくれたもんね。
 あ、他にもあたしの体を見つけてくれたのも。だから、あたしはみんなと同じように生きてるって実感してるわ。だからこそ、私がお兄ちゃんを幸せにしたかったんだけどね。
 叶わない想いっていうのも結構いいものじゃない?ロマンチックで。ただ、辛さを伴うのが難点かな…。

 それから、時間がゆっくりと失恋の痛手を優しく埋めてくれるの。それで、新しいお兄ちゃんと出会えたの。あ、こういったら代わりみたいに聞こえるけど、全然違うの。ね、わかるでしょう。言葉って難しいんだから。
 新しいお兄ちゃんは自警団の第三部隊隊長なんだよ。最年少の隊長だって。ほんと、あたしの自慢のお兄ちゃんなんだから。

「ロ〜ラさん、これ〜、よろしくお願いします〜」
「あ、は〜い」
 今日もいい天気だから洗濯日和だわ。お日様が出てると、洗濯物がいい匂いになるんだもん。セリーヌさんから洗濯籠を受けとて、一枚一枚伸ばして物干し竿にかけていく。伸ばさないと乾いたときに皺になって、二倍手間がかかっちゃうの。
 こうやってみんなと一緒に何かできるってことが嬉しくて仕方がないの。だって今まで憧れてるだけで、見てるしか出来なかったから。
「あっ…」
 洗濯物を半分干したときに、気まぐれな風が物干し竿ごと地面に落ちちゃった。もう、せっかく洗濯したのに、また汚れちゃったじゃない。
「あらあら、困りましたね〜」
 あたしは目を疑ったわ。セリーヌさんが力持ちってことは知ってたけど、私が考えてたよりセリーヌさんは力持ちだったの。物干し竿を端を片手で掴むと、そのまま持ち上げてかけなおしたのよ。洗濯物っていっても、まだ乾いてなくて水分を含んでいるから、かなり重たいはず。それを顔色一つ変えないでもっちゃうんだから。
「あら、どうかしましたか〜?」
「何でもないです。でも、また洗濯しなくちゃダメだね」
「そうですね〜。じゃあ、また洗濯してきます〜」
「あ、あたしも…キャッ!?」
 いきなり何か冷たいものがあたしの体にかかったの。え、水?何で水が。
「あっちゃ〜、よりによってローラ姉ちゃんにかかるなんて…」
「だから言っただろ、バカ!」
 えっと、理解できなんだけど、声をするほうを見たら、複数の子供がいて、その中の男の子の一人がバケツを手に持っている。しかも、バケツには水が滴ってるし。
 ははん、そういうことね。
「コラーッ!」
「わ、ゴメンって。わざとじゃないって」
「「わーっ!」」
 もう、許さないんだから。良くもあたしに水なんかかけてくれたわね。そりゃ水も滴るいい女かもしれなけど、いくらなんでも酷すぎるわ。
「あらあら、仲が良いですね〜」
 もう、セリーヌさんったら相変わらずのんびりしてるんだから。こうなったら、セリーヌさんには悪いけど、洗濯はよろしくね。あたしはちょっとお仕置きしなきゃならないから。
 …子供って何でこんなに体力があるのよ。あたしのほうが息切れしちゃうじゃない。それに、何だか体が熱くてぼ〜っとしてきたし。
「こら〜!待ちなさいよ!」
「ヤダよ〜!」
 もう。いい加減にしてよね。かれこれ一時間くらい走り回っているのに。しかも、向こうは遊びにしちゃってるし、あたしがバカみたいじゃない。ぜ〜ったい、意地でも掴まえてやるんだから。
 だけど、あの子達って素直じゃないんだから。少しは可愛げあるとところを見せなさいよ。
「まったく、もう…いい加減………」
 あれ、急に体の力が抜けたような…………それに、寒いし、意識が遠く…………

 気がついたら、誰かにおんぶしてもらっていたわ。大きくて暖かくて、すっごく心地よくて安心できるの。
「気がついたか?」
 あ、この声、もしかして…。
「うん…」
「良かったです。ローラさんの意識が戻って」
 隣を見たら、ネーナさんがいた。そして、あたしをおぶってるのはお兄ちゃん。でも、どうしてこうなったんだろ?
「お兄ちゃん、どうして?」
「どうしてって、ローラが風邪で倒れたって聞いたからクラウド医院に駆けつけたんだよ」
「そのせいでな、オレの晩飯は遅くなったんだよ!」
 これも聞き覚えのある声。ちょっと上のほうを見たら、やっぱりいたわ。あのうるさい小悪魔。
「何よ、別にいつものことだからいいじゃない」
「ふざけんな!今日はな、珍しくこいつがラ・ルナに連れてってくれるっていう日だったんだぞ。それを潰しやがって」
「二人とも落ち着けって。俺を挟んで騒がないでくれ。うるさいから」
「だって、お兄ちゃん」
「それに、ヘキサも今度つれてってやるよ。約束は約束だからな」
「本当か!?」
 ヘキサったら相変わらず現金なんだから。急に上機嫌になっちゃって、お兄ちゃんも大変だね。
「それで、具合はどうなんです?」
 お兄ちゃんにおんぶしてもらったり、ヘキサとにらみ合ってたりして忘れてたけど、あたしって風邪を引いたんだよね。
「大丈夫だよ、ネーナさん」
「こら、今がよくても油断するな。まだ熱があるんだからな」
 やっぱりお兄ちゃんって優しいな。こんなにあたしのことを心配してくれる。でも、お兄ちゃんの優しさはみんなになんだよね。私だけ特別っていうのは、ワガママかな?
「は〜い。でも、すぐに治っちゃうんだから」
 じゃないとお兄ちゃんとも会えなくなるしね。
「そうそう、その意気だよ。元気なほうがローラには似合ってるから」
 お兄ちゃんの笑顔とその優しい声、どれほどあたしに、みんなに影響を与えるのか知ってるのかな?
 あ、もうすぐ教会か。これでお兄ちゃんとお別れなんて、ちょっと寂しいから、駄目元で聞いてみよう。
「お兄ちゃん」
「なに?」
「おたしが寝るまで、手を握っててもらえるかな?」
「あら、ローラさんったら」
「ケッ、まだまだガキだな」
 ヘキサの言葉にムッとしたけど、ここはガマンガマン。
「う〜ん…いいよ。ローラが寝るまで手を握っててやるよ」
「ほんと!?ありがとうお兄ちゃん」
「あっ、こら抱きつくな!苦しいって」
 聞いてみて良かった。まさかいいって言ってくれるなんて信じらんない。神様も風邪をひいたあたしに味方してくれてるのかな?

 今、あたしの部屋にはお兄ちゃんと私しかいない。あのヘキサはうるさいからお兄ちゃんが先に寮に帰らせたんだって。
「おやすみ、お兄ちゃん」
「おやすみ、ローラ」
 あ、お兄ちゃんの手があたしの手を包み込んでくれる。あったかくて大きくて、安心できるな。
 ちょっと目を開けてお兄ちゃんのほうを見たら、お兄ちゃんが穏やかな顔で私を見てるのよ。ほんと、嬉しくて寝てないことを隠すのにいっぱいだったわ。
 誰にも負けないんだから。絶対、バージンロードの先にお兄ちゃんを待たせてやるんだから。
 そんなことを考えてると、急に眠気が襲ってきたの。ああ、まだお兄ちゃんの温もりを感じていたいのに。
 でも、今日は良い夢が見られそう…。

<END>


<後書きらしきもの>

 ここまで読んでいただき、真にありがとうございます。(深々)
この作品はDigiDigi様のリクエスト「ローラ様でエンフィールドのお話」でしたから、ありきたりになってしまったかもしれません。(苦笑)
しかし、テーマは私が納得しております。…自分が納得してどうする?という突っ込みが聞こえてきそうですね。(汗)
しかし、今回残念なのは、ローラ様が意識を失ったところから、意識を取り戻すまでのお話が書けなかったことですね。色々とありましたのに…未練ですね。
そして、これが切り番のお祝いとなればよろしいのですけど。
では、以上で失礼いたします。

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